2013年に読んだ本々

『愛しき者はすべて去りゆく』デニス・ヘイレン(鎌田三平 訳)/角川文庫〔平成19年10月10日四版発行〕
 〈主な登場人物〉が限られすぎているなあ?とは開いた時からずうううううううっと思い続けて読んでたんだよなあ(笑)。案の定早苗だ! てゆーかだからもう、〈主な登場人物〉やめないか? 或いはきっちんと、もっと端役を網羅して挙げておくとかさあ? 「まさか、犯人を〈主な登場人物〉に含めてない、はずはない」と、思わせちゃったら、不利ではないか?と思えてならない。と苦言を呈したくなるほどに、あまりに、悪そな奴が挙がってなさすぎるんだもの(笑)。構成は、おもっっきし救いのないパッターンを最初に提示することで、それよりかはましな救いのすけないパッターンを読者に容認させる、という手法が採られていて、ふむふむ。邦題は、シリィズのファンに向けた訳になっているんだろうなあ、僕的には終いがけに「去りゆく」「愛しき者」に、別に思い入れがないもの。別れろ別れろって思うもの。13.06.06
『エンガッツィオ司令塔』筒井康隆/文藝春秋〔平成12年3月10日第一刷〕
 そうそうそう、この短編みたいな、「状況描写を省く」小説こそが、僕の好きな、受け容れられる文章だ。これでなくっちゃ! これで伝わる小説こそが僕の性に合っているんだようん! それにしても『越天楽』は、当時ネットで読んだ時にも思ったけど、ああ、筒井康隆であろうともこんなついった小説みたいな尺のを書くと、こんな程度(笑)になっちゃうのかーと思う。あと、『俄・納涼御攝勧進帳』みたいな、知識をバックグラウンドとして持ってないと読めない、書けない小説は、なあ?と思う。これがありならAKB小説の方こそを僕は支持するし読みたいし書きたいし求めたい。13.06.14
『おそろし山』アイナール・トゥルコウスキィ(鈴木仁子 訳)/河出書房新社〔2012年11月30日初版発行〕
 本の判型とレイワウトとが、活きてる!! 書籍の形として手許に置いておきたい!とはこーゆーことだ! いいなあ、企画がいいなあ。あとついでに言うと森博嗣さんがこの絵本を翻訳してくざさっていたらどんなになっていたか!興味津々々すぎる!! 森さんの文体でこの物語が読みたい、氣が沸々々とする。13.01.12
『オタクの息子に悩んでます』岡田斗司夫 FREEex/幻冬舎新書〔2013年3月10日第七刷発行〕
 ステージ6がピークだった。「おたきんぐの人生相談のノーハウ」部は、僕には要らなかった<その方によりっ層ペヂーを割いている訳なんだけど。まあ、あとがきを読んで納得したのだけど、これは講演会を文字に起こしたものなのだそうだげなだ、ああ。こーゆー講演をなすっておられるのか。だったら、行けば煙に巻かれてその場では愉しめはできそうだけど、よっぽど「完成品」である人生相談の回答だけを読んだ方が身になるわなあ?と解ったのでよかったよ。13.05.18
『神様が殺してくれる』森博嗣/幻冬舎〔2013年6月25日第1刷発行〕
 ここまで「倒錯」を重ねたのはすげい!! このトリックは想像外! すっと読んでしまって、フツーだと、ずうっと後に反芻して、あれ、あの箇所の風呂敷が畳んでないんぢゃ?と思い出す、みたいな細かいところを先まーりしてちゃあんと、だから読み終えてすぐには思いつかないよーなディテールもかっちりと説明して終える、ってゆーのは大したものだにゃあと思います。作者がいっち番考えている所以ってことなんだけども!13.07.23
『眼球堂の殺人〜The Book〜』周木律/講談社ノベルス〔2013年4月13日第一刷発行〕
 この元ねたになった森博嗣さんの小説を挙げよ、という設問があったらごく簡単に6、7作は挙げられるだろう!(もっとかもしんない、勘定する氣にもならない) トリックはふんふん、と思わないでもない、けど。そもそもそもこんな眼球堂の異常な造り自体に登場人物たちが感心したり感銘を受けたりしている、そのセンスいうか感受性が理解できない? なんでこれが建築学の優位性を証明するに値する建造物なのか、ちぃとも解らない? 完全数からの推理も独り善がりにしか思えないし。トリックから考えて前の方を組んでいったんだろうな感がありありあり、って感じ?13.06.20
『キウイγは時計仕掛け』森博嗣/講談社ノベルス〔2013年11月6日第1刷発行〕
 雨宮純は本田翼に置換して読んだった! 最高に昂ぶったのは76ペヂーの11行目12行目だ、そうか!! どんどんどん、殺人や事件が、巻き込まれたり関わったりはするけれどもシロトが解決をする類いの事柄ではない、になってきていてこれぞ森博嗣さんがコメントに書かれているその意図の通りなんだなあと、その域に突入していたのだなあと、知れて悦ばしい♪13.11.11
『「思考」を育てる100の講義』森博嗣/大和書房〔2013年8月20日第1刷発行〕
 これは『MORI LOG ACADEMY』だ! 一年ヴいに100編が発行された、ってことは週に2本が更新されるMORI LOG ACADEMYだ! 僕はMORI LOG ACADEMYが大好き!! この本にはめっっちゃ価値がある♡13.08.13
『シネマ珍風土記 まぁ映画な、岡山じゃ県!』世良利和/蜻文庫〔2013年3月31日第一刷〕
 「岡山縛り」で映画を紹介しなさいね、と言われた時に、こーすればヴァリエイシオンを出せるのか!というお手本のよーな(笑)。あと、「岡山縛り」だと、ちょーど本一冊分になるのかな?とも(失礼なことを!)思った! すべてのセンスが作者と僕とで合っている訳ではないだろうから、たといば『ハンザキ大明神』で特殊メークをしてない点をそんなにしつっこく論わなくてもなあ?と思うほどだったりもしたけど。映画を実際に観たら僕もそー思うのだろうかしゃん。あと時代劇ものの中には、係り結びがすっと入ってこない、人名が入り組んで理解を抛棄するよーな回もあったけど。それも僕の趣味嗜好のせいもあろうか。いしいひさいちさんの4こま漫画目わてで入手した本だけど、ネタ元となっている映画を観ていない以上、やっぱきエッセーは必読でしたね(笑)。13.05.11
『スカル・ブレーカ』森博嗣/中央公論新社〔2013年4月25日初版発行〕
 ナナシとヤナギのスピンオフ短編が読みたいよ。この次のお話を読む時まで、この内容を僕は覚えていたいよ、でもそれは僕には無理な話だよ!! 切ない脳…<次のを読む前に読み返せばいいんぢゃ!?<どっか行っちゃうんだよね?(笑)<そんな我が儘な!!(悲鳴)13.05.26
『天冥の標Iメニー・メニー・シープ〔下〕』小川一水/ハヤカワ文庫〔2009年9月25日発行〕
 絶対に、ミステリィとかに毒されすぎだ、僕よ!(悲鳴) だってだってだって。この終わり方で、アクリラの去就が知りたくない(笑)、リリー・オリジナルの今後が別にどーでもいい(笑)。これで据わりがいいぢゃんね?と思ってしまう(笑)。謎を謎のまま、棚上げして読んで、そのーちいつか答が明かされる時に知ればいいよ?と一縷の期待をもしない(笑)。だから読むのも、こんなに読み易い文体だっちゅーの@パイレーツに、めっさ時間かけちゃった! まあ、面白いことは確か。13.01.21
『人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良いのか』森博嗣/新潮新書〔2013年3月20日発行〕
 「執筆後の原題」なんて報されたら、惜しい! これだったら!!と思っちゃうではにゃいか!(笑) でもまあ、「人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良いのか」だって森博嗣さんの中にあるフレィズだし、これにオーケイを出して発行を認めた時点でそこまで含めて森博嗣イズムである!と看做せるし。『浮遊研究室』のお題提示のようでもあるし、『考えなしの行動?』の発想法のようでもあるし、しかし中でもいっっちぱん驚愕しためになったのは森さんの小説の執筆法に書かれた行だった! すげい! そー書けばいい、そー書いていいのか!とうろこもの。読んで、ほんっっとうによかった!!13.04.09
『人間は考えても無駄である ツチヤの変客万来』土屋賢二/講談社文庫〔2009年10月15日第1刷発行〕
 対談集は、読みよいなあ!! 場面が転換しないからどいなけ読みかけで放置しておいて、いざ復帰した、その時にすうっと入っていける。わあ。しかも、ほんの2ペヂーも読むと、示唆に充ち満ちている。ためになるなあ! この対談が行われて本になるまで十年近くを要したとか、なんでっ!?と思う濃密な内容だったよ。13.03.04
『熱望』水生大海/文藝春秋〔2013年4月25日第1刷発行〕
 スキルは上がってってんのに性根はひん曲がったまんまだから、こーゆーことになるんだなあ(しみぢみ)。イヤンミス、とのヂャンルを事前に聞いていたけど、そんなイヤンではないし、なっかなかミスになんないにゃあとは思って読んでいたよ。そーして、ぽっつりぽっつり5ペヂー読んでは休み、8ペヂー読んでは翌日に送る、とゆー読み方をする僕に、この場面転換の頻度と、キャラクタを「その場だけで判ればいい」よー表記されているぐわいは、すっげい合ってた! 読み易い! …一箇所、その23ペヂー前まで違う表現だったキャラクタがいきなし「部長」呼ばわりで登場したとこだけ、え?って思って遡ったけど(笑)<そこまでキャラクタを憶えるのが苦手な読者か!!@僕13.04.29
『不要家族』土屋賢二/文春文庫〔2013年3月10日第1刷〕
 土屋賢二がお茶大を定年退職する辺りから以降の時期なので、助手や学生が出てこなくなってて、却って「一般的な出来事」をモッチーフに書かれて、面白く読めた! 環境の変化は停滞を打破するんだなあと思うよ(笑)。そーしてまだまだまだ、切り口は無尽蔵なんだなあと感動もんです。13.06.04
『「やりがいのある仕事」という幻想』森博嗣/朝日新書〔2013年5月30日第1刷発行〕
 「明文化」が最大の価値だ。森博嗣さんの考えることってーのがそもそもそも好きで、傾倒しているんだけど、それを改めて言葉にしてこーしてまとめて再構成してくざさるて! どんな僕得!! あとがきの220ペヂー9行目から書かれている、これは森さんご自身によるこのご本の「感想」でしょう? うわもう素敵!(笑) 面白興味深すぎる!!13.05.12

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