◆超《を》級HG漫画缶累々々◆ 〈95/5/6〜8/26〉

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(1995.5.6)

 なんで“をかべまさゆき”ってゆうペンネームにしたのか?って訊かれることがよくある。

 時は明治にさかのぼるが“岡部”にルビをふると“をかべ”だったと言うのは国語学的に正しい。はず。

 あとね、漫画の単行本って作者名のアイウエオ順に並べられるじゃん、本屋さんの棚とかでさ。“を”で始まっとけばこれはもう、ワタナベよりもふちっこ? 必ず一番右端を見れば、をかべのコミックスがあるぞってゆー。読者に親切なペンネームと言えよう。ただ問題は、単行本がまだ一冊も出やしねぇってことかなっ(笑)。

 “さいとう・たかを”とか“和田ラヂヲ”とか、我々「“を”仲間」(そんな仲間いやーん)のうちで今一番オモロイのは“唐沢なをき”ですな。コミックガンマの『蒸気王』唐澤商會名義だけど読んでみりん。

また、たまに作中で自らを“ヲカザキ”と表記する岡崎京子もイケるよ。フィール★ヤング誌に次に載るのが待ちどーしくってたまんない。


(1995.5.13)

 今我が家のどこを探しても『動物のお医者さん』の単行本はありませぬ。全巻そろって犬山の某お宅へ奉公にでてるのね。『GOLDEN LUCKY』一巻二巻は八事方面に出掛けてもう三年半になりますし、新栄あたりにも『国民クイズ』とかが行きっぱなしになっているはず。

 友達に貸してて手元にない漫画ってゆーのは、ヒトサマにお薦めできるつー意味でホントに面白い漫画と言えよう。例えば“入院しているお友達のお見舞いに持ってくのに適してる系”つーか。東京へ貸し出し中の内田春菊『ストレッサーズ』全二巻もこの部類に入りましょう。

 あと、貸し出すと部屋が広くなってえーぞって理由もあるのよ。若林健次『ドトウの笹口組』全巻も新栄に出張しているけど、今んとこ返していらんですので。4649。

 でもね、実のところ誰にも貸さないで大切に大切におウチで読んでるコミックスこそが自分にとっての珠玉の一品だったりもすんだなぁ。


(1995.5.20)

 BCGつったら予防接種ですがBGCつったらあなた、「ビッグゴールド・コミックス」ですねん。

 おじいやおばあ対象の漫画がそのうち出るぞ今に出るぞそら出るぞと言われて久しいが、月刊ビッグゴールドちゅー漫画雑誌はかなりそれに近いあたりをターゲットにしている。読むに耐えうる漫画雑誌のうちで、今んとこ一番高い年齢層を狙っているとおぼしき奴がコレなのね。

 名を連ねてる作家からしてもゥ。「きょしょー」だったり「タイカ」だったり、既にヒトヤマあてて今や“このセンセーだったら堅いぜっ”“読ませるにちまいないぜっ”つー鉄板漫画家さん達ラインナップしてはるんですものー。最近甘口の漫画が多いとお嘆きの貴兄にうってつけ。「堅実に面白い」とゆう評価をして間違いなかろう的?

 そんな月刊ビッグゴールドに連載されてる近藤ようこの『心の迷宮』シリーズ♡好きでしゅ♡ BGCで一巻が出てるから見てみそ買ってみそ。あと水木しげるのも好き好き−。


(1995.5.27)

 このコラムでは無理をいって常用漢字にない字も遣わせてもらっている。だもんで中日新聞のどの欄よりもルビを多用するコーナーになっちゃってんの。漢字の後にマルカッコつけて読みを書くのもださださクンでヤだしねぇ。

 少年少女漫画誌の偉いとこはフキダシの文字にルビふってあるってことでございます。凝った言い回しとか難しい熟語を子供さんたちは漫画のセリフから覚えることができちゃうのだたっ。

 かくゆうワタシも齢十八を過ぎてから漫画で漢字を覚えたつー経験があるんだなぁ。いっこは“刮目”。意味を知らなかったヒトは早速辞書をひきたまい。小林よしのり『東大快進撃』最終話のラストシーンで知りましたこの言葉。もーひとつも小林よしのりの漫画からで“捏造”。これはね、『世紀末研究所』の主人公の名前がコレだったとゆ−。

 その精神にのっとり難読漢字を遣ってるつー意向を汲んで頂いて、フリガナ大行進とあいなった次第どす。


(1995.6.3)

 今年も青梅の季節がやってくる。

 「オラオラオラ−!! 今年も青梅に塩付けてカジりまくるぞー!!」

(『ヤスジのドよろずーマン』週刊漫画サンデー94年6月28日号より)

 グルメ漫画がブームを起こして久しい。その氾濫のためかめったな描写では読者の空腹中枢に刺戟を与えづらくなっている。みんなゴチソーの絵に慣れて麻痺しているってゆーのか。

 そこへこの谷岡ヤスジの青梅礼讃だ。これ漫画の内容と全然カンケーなく欄外とか扉絵とかに書いてあったりすんだよね。カリカリカリカリ擬音入りで。ハマりましたよ見事に(笑)。もー去年は毎日青梅食う日々で。ヤスジ調の言葉遣いやピュアな絵ってスッゴイ魂に響く(笑)つーことかね。

 名古屋のタレント塚田百美ちゃんも、青梅に塩つけたの「あれば20個ぐらい」1シーズンに食うといいます。谷岡ヤスジが何個の青梅を食すかは、また今年も漫画の欄外で明らかにされるにちまいないのだ。青梅ファンの諸君は見逃すことなかれ!


(1995.6.10)

 男の子向けの漫画雑誌ってインクの色は黒か、せーぜー青だよねぇ。それにひきかえ女の子向けの雑誌はスゴイよー。赤あり緑あり、それどころか紙の色までめまぐるしく変化して、ピンクの紙にブルーの漫画が刷ってあったり黄いない紙に赤インクで印刷されてたり、もーラブリィ。

 こーゆーのって作家のセンセ方は事前に知ってんのかしら。「今月号はキイロ地にフカミドリのインクです」って聞いて「そんじゃフカミドリっぽい話を考えましょっ」とか。だったらば単行本でも一話ごとにインクと紙の色変えなあかんのとちゃうか。

 ちなみに、ぶ〜け連載中のなかはら桃太『Angel Baby Cupid』に於ける最近四カ月間の紙&インクの変遷は白地に紅・白地にアオ・白地に紅・白地に紅となっており、紅組の優勢はゆるぎないものと言えましょう。

 なお内田春菊の『ナカユビ』(ぶんか社)つー単行本がピンク地に紫インクなのはこりゃラブリィつーよりかポップを狙っとんですわな。


(1995.6.17)

 連載マンガって画き進むにつれてだんだん絵柄が変化してゆくつーのは世の常。のために途中から雑誌で読むよになって気に入った漫画を、じゃぁつってコミックスで一巻から読み通してみるとキャラの顔とかずぇんずぇん違っててゲとゆーことはままあったりするもんです。

 例えば、『こち亀』の両さんとか少年サンデーの『南国アイス』なんかでも、ずいぶん顔の変化を経て現在に至ってる。

 これは特に、デビュー後まもない作家がいきなり長期連載もった際に顕著にみられる現象なんすが、青木雄二『ナニワ金融道』ではこれらの条件を満たしてるにもかかわらず!単行本14巻を数えるにもかかわらずちーとも絵が変わってこえへんの。

 週刊モーニング誌上でいよいよ!!待ちに待った第二部の連載が始まります。これからファンになろまいかつー予定のヒトは今のうちに第一部繙いとけー。『ナニ金』暦の浅い方でも絵柄の違和感なく♡一巻から現在のレベルで楽しめますよってにね。


(1995.6.24)

 今週はガロ論です。ガロローン。

 十年ぶりくらいにまた買い始めたんすよ、月刊漫画ガロ(青林堂)。ほーしたらば漫画の占める割合が本全体の半分ぐらいしかないの。まっと読みたいと思わせる作戦かにゃ。

 意外だったのは読者に若いコが多いつーこと。十代のコのお便りとかがやたら目に付くんだわ。「ガロ読むよーになったらオトナ」ってイメージあったんだけど…。ま、未来は明るい。のか?

 西岡兄妹ってこの地方出身の漫画家さんです。キビ悪そーな絵ですが慣れるとこれがまたデリィシャス。

 タイトルを読みくだすことができないんやけど、逆柱いみりの連載はある意味で「これぞガロ!」つった漫画世界を提示しており久々の読者でもニュルルンと入り込めて花丸。

 あと古屋兎丸の四コマ。月を追うごとにズビズバ好きになってくのは僕のせい? それともグングン面白くなってってるせい? はよ単行本出るとよかとにねー。

 つーことで! ガロ論でした!! ガロローン。


(1995.7.1)

 今、女の子の漫画家さんがいっちばん新規参入しやすいジャンルつったら1.えっちもの、2.(以前も書いたけど)麻雀もの、そして3.酒飲みもの!なのだ−ッ!!

 「えっちもの」は原律子以来あんまりぱっとしたのが出とらんとワシは認識しとるがいかがか。狙い目?

 「麻雀もの」は、サイバラが斬り込んでくれてのち、ウスクラだの有元美保だの花摘香里だの、後進がいーぱいいーぱい出てきちょる。“ほどほどに絵が画ける女の子に麻雀を教えて、習得してくまでをエッセー調に描かせる”つー黄金パターンが確立したとみてイーね。華やかでええぞ麻雀界。

 さて。レディースコミック界の新機軸つうたら「酒飲みもの」です。“酒好き女性漫画家の飲酒エッセー漫画”なんだけど、面白いんだな−これが。二ノ宮知子『平成よっぱらい研究所』とか♡ 酒は麻雀よりか一般的なぶん、今後の発展が見込まれるジャンル。かも。

 飲酒月刊漫画誌の創刊が待たれるこのごろよ。


(1995.7.8)

 さて。大垣女子短期大学での話を書こうか。

 をかべが教えてるトコロのマンガ論も、既に十一回の講義を終えました。前期、すなーち夏休み前までの講義内容は、“画き手の側からみた漫画論”だったですわ。

 おんなし人間がやってるだけあって、このコラムに書いたことどもも、まんま授業中に取り上げたりとかしてんの。大学の講義と連動してるつーのか。中日新聞取っててこんなに得したことないっしょ?

 をかべまさゆきの漫画家としての永遠のテーマ(そんな大層なもんかいっ)つーのが、漫画内に使用される文字の研究。写植だったり書き文字だったりオノマトペだったりね。そのあたりを使った遊びつーかネタがムショーに好きなもんで、“音声学”と題した講義には力はいりましたねー♡ 筒井康隆『虚航船団』のホチキスまで引用しましたもの。

 次回、七月十日の講義のテーマはここには書けない“商業漫画誌に於けるタブー”。うふふ。楽しみにょす。


(1995.7.15)

 5コマ漫画の依頼がきたのだー。携帯電話の販促用チラシに載せる奴だそーで、代理店のお姉ちゃん曰く「指の本数とか眼の数とかくれぐれも注意して下さい! 不本意かと思いますがデフォルメを控えて頂くやもしれません」

 ついにワシのとこにも来たかあっ。いやー、噂には聞いてたし『ゴーマニズム宣言』でも読んでたんすが、本当にあるんですねー。“モノを掴んだ絵を画く際にムコーっ側に隠れている見えないはずの親指も、どんな不自然でもイーからなんとかコッチ側に画き足してくれろ”てゆうことを言ってくる会社が。特にこの、もと三公社五現業のうちの一つはうるちゃいとヒョーバンで。

 で、をかべくんやる気になっちゃって(笑)。「そんなに指好きなら人工太陽球みたいに全身至るところ指まれけにしたろか」とか、「水木しげる『悪魔くん』の名脇役にちなんで、バリュー価格で目ェ百個♡」とか思ってたのに好事魔多し。この依頼は企画ごと立ち消えちゃったのよ。


(1995.7.22)

 ひさびさにワクワクしたなあ野球漫画でさあ。なかいま強『わたるがぴゅん!』の話なんだけどもさあ。

 今から思うと少年サンデーでやってた『うっちゃれ五所瓦』ってのは短期集中連載だったのなー(笑)。『わたる』なんて133回だぜ、133回! 月刊誌で133回つーことは11年ですゼ11年。キョ−。単行本も34巻を数えとるしー。今やってる山笠中学との試合も、まー一年以上続いとれせんかしゃん。

 こんなけ連載やっとりゃー、ほら惰性だってあるわさ。毎月読み続けもするし、常に次回が楽しみだなっつーのも本当やけれども、正直なところ”今”の『わたる』が最高ノリノリの状態だ!とは思わないのな。大はずしもせん代わりに、大爆発もなし!ちゅう安定状態ってゆうか。

 「なあんかここんとこ“フーン”って感じっ」て悶々とかしてたトコロへ、ガッパイが(笑)やっぱやってくれましたっ♡ 月刊少年ジャンプ8月号掲載の最終見開きページったらChoooカッコイイ!? 必見。


(1995.7.29)

 「少女漫画誌でヒットをとばした作家さんを連れてきて、青年漫画を画いてもらっちゃおゥ♡」と得意技とするビッグコミックスピリッツ。過去にも玖保キリコとか、岡野玲子とか、松苗あけみとかさくらももことかがひっぱってこられちょりましたが、、さて。佐々木倫子が起用されてそろそろ半年ですにぇ。

 動物・医者・北海道の三点でストーリーを回していた『動物のお医者さん』から“医者”の部分を抽出したつーのがこの『おたんこナース』でござります。

 『動物…』は、けっこ優柔不断なハムテルの周りに濃ゆ〜いキャラクター配置して、起こる事件を描くっちゅーカタチとっておりましたが、『おたんこ』では主人公の似鳥自信誰よりもおたんこなので、そのせーか知らんが取り巻くサブキャラ全然憶われせんのだ。ま、レギュラーの患者を創る訳にもいかんしねえ。

 ちなみに日本漫画史上ベストオブ痛そうな注射シーンは!『ゲゲゲの鬼太郎・大海獣の巻』に出てくるぞ。


(1995.8.5)

 桜玉吉ってどのくだい有名なんだろ。いきなり「サンサーラナーガのキャラデザインの人っ!」て正確なこと判るヒトならば、その方は当然『しあわせのかたち』(アスキー)つー漫画をも知っていると見做してよかですね。

 ワタクチももち!ファミ通のこの漫画で桜玉吉を認識したクチでして。『おやじの惑星』(白夜書房)も『ブロイラーおやじFX』(秋田書店)も持ってましゅがね♡

 とまれ、桜玉吉を世に知らしめるにゲーム雑誌の功績たるや大きい。神、空にしろしめすに、かたつむりの功績たるや小さい(何を言うとるか)。ゲーム雑誌つうのはヲタクの巣窟(ヒ−)で、“面白いこと”に貪欲なヲタク達が本当に見る目を持ち、良いセンスを有していた場合、それはゲーム畑とは違うジャンルである漫画に於いてでさえ真にレベルの高いものを提供しうるってーことをこの逸話は教えてくれとんねん。島本和彦『ワンダービット』とかね♡ 寺島令子『墜落日誌』とかね♡


(1995.8.12)

 学校ものの、いわゆるお手軽な怪談が流行ってる。映画館でもこの夏やってっしょ。ホラー漫画誌つーのも出ちょるしブームだそうでして。

 本格的におそがい漫画がよければ昔ながらの日野日出志とか古賀新一とかも今なお健在みたいだし、御茶漬海苔だっていることだし、唐沢俊一が『まんがの逆襲』(ベネッセ)でスポットをあてたトコロの貸本怪奇少女漫画なるものの流れの上にある作品を楽しむことすらわりかた簡単ではある。

 ぐぁ!しかし、大勢が求めているとされるのは“フツーにオシャレなイマふうのそ〜んなに重くないってゆータッチで画かれたコワ〜イ系♡みたいな〜”漫画なのな(とほ)。

 少年マガジンさんがやりました。なんか先生が変なんなってすげこわとかゆうの。少年ジャンプさんでは『ぬ〜べ〜』好評連載中ね。でも♪その手の画かすっつーなら高橋葉介起用した少年チャンピオンいちばん偉い! …ただマンガ少年時代のレベル常に望むってのはアタマ古すぎ?


(1995.8.19)

 内田といえば春菊もいいけど有紀でしょう、やっぱ。

 あの日常くんを内田春菊は「もう描かない」って宣言したけれど、その発展形としての人格・繭から出たあとの日常くんに該当するキャラと思しき『こんな女じゃ勃たねえよ』(実業之日本社)のデビイなんてのが春菊漫画にはやっぱ登場してきています。

 いかにも「身の周りにいそー」ってゆうヤな奴だの、人間味あふれまくりーみたいな奴だのを表現させたら内田春菊ってば天下一品。おそらく出会った実在の人々に対して的確にしてかつ辛辣な性格分析を施し、再構築を経たのちに漫画に出演願ってるんでしょな。ここまで見事な人格のステロタイプ化なんてあなた、並大抵の観察眼ぢゃできないっスー。フツー人前では現れないよな性癖ですら!内田春菊にはお見通し♡ね?

 ともあれ、内田つったらやっぱきかずひろもいいけど有紀でしょう。

 狙いどおり“可愛くて面白い”内田かずひろの動物マンガ要チェック!!


(1995.8.26)

 ううーむ。ついに干支が一周してしもうたかっ。祝! 12周年!!

 今まで黙っててすまなんだ。わたくしことをかべまさゆきは、この夏でデビュー丸12年(ゲッ)を迎えたロープ−の漫画家さんだったのだ。おめめとーおめめとー。

 ここで漫画雑誌出してる出版社の方に朗報だ。今をかべに漫画の連載のお仕事を与えると!もれなく中日新聞のこの欄に書いてあげちゃウ♡ さあ。ドシドシ(笑)。

 昔連載をしてたってんで、今なお少年サンデー超増刊と週刊漫画サンデーは毎号ウチに送られてきます。が。漫画家も永〜いことやってると(笑)いろんなコト起こるもので。まだ増刊少年サンデーに“超”がついてなかった頃いっかいだけ!本が送られてこんかった月があんのね。

 その号ってのが『うしおととら』外伝の載ったヤツで。これはきっと(以下推測)この読み切りが載ったお蔭で本が、異常に売れた! さすが『うしとら』♡ んで僕んとこに送る分まで売ってまった。のでは。


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