◆超《を》級HG漫画缶累々々々◆ 〈95/9/2〜12/22〉

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(1995.9.2)

 今いちばんお気にーりの文体のエッセイつったら週間文春でやってる『ホリイのずんずん調査』でしゅ。自分で書いた文章に間髪をいれずにツッこむっちゅー名人芸よ! スゴイ素敵。あやかりたいあやかりたい。タイトルんとこのイラストに天久聖一を起用するたけのころはあるます。堀井憲一郎センス大ありですう。川崎徹読んだ時以来のインパクトっても過言ぢゃあないっス。

 かくの如くエッセイの必要条件としては「センス」と「文体」が挙げられちゃう(…うう耳が痛い、かも)んだけど、これはエッセイ漫画についてもいえるとよ。

 月刊カドカワに載ってた『まりなの魂』っつーイラストエッセイってヒジョーにオンナのコらしい口調で描かれてた。そのセンスと画風を漫画で展開してるのが、ぶ〜けの雨月衣とかなのな。“等身大のオンナのコ”ってゆう「文体」がエッセイ漫画で開花してんの。…例えば題材をアメリカに求めた際も、もんの方が等身大ぽいもの。中尊寺ゆつこより。


(1995.9.9)

 少年ジャンプの漫画の多くがページ数が奇数で画かれてるっちゅーのは何故かつーと、“連載漫画を単行本に収録する際、扉ページをとっぱらっちゃえば♪ほぉら、続きモノに早変わりぃ”の法則に因る。

 読者としてはコミックスは雑誌掲載時のまま、タイトルページ込み!の作品状態で読みたいんやけどねー。たとえ続けて読むのにブレーキかかったってええからさぁ。

 コミックガンマに連載されている漫画の多くは左起こしで画かれてるけど、なんと要らんことに(笑)最初のページの右っ側一枚を使って、それまでのあらすじだの登場人物の紹介だの載せてるの。

 フツーこーいったモノって扉ページの裏とかでやってたじゃない、今までの漫画ではさぁ。見慣れないことおびただしーったら。「いったいどっから漫画が始まっとんねん!」みたいなー。ただでさえアニメ絵っぽい漫画を読み慣れてないヒトが、さらにこのシステムでガンマを避けるとしたらばそれは悲Pことよ。


(1995.9.16)

 コムロの才能大爆発でんなあ音楽界ってば。trfやら浜ちゃんやら大売れ売れ大会の巻ですじゃ。

 しかーし! をかべがいっちゃん好きなコムロ・ムジーク♪つうたら今を去ること8年前、福永恵規がアルバムで歌ったトコロの『ハイパー・ラッキー』ですの♡ をかべの人生変えたからね、この曲。座右の銘なんつったらあなた、「死ぬまでラッキィが続く」てなもんで。

 音楽が漫画家に大きな影響を与えるつーのはよく観察されることで、例えばますむらひろしでいえばビイトルズね。初登場以来、22年が経ったとゆう猫、ヒデヨシも「ざろんがんわいでんろう」と歌っているところが記録されておりますし。コミックバーガーで連載してる『アタゴオル』の物語世界は、ビイトルズと宮沢賢治とその他によって構築されちょるちゅう訳だあ。

 逆に、ますむらひろしの漫画が音楽界に影響を及ぼした例もあって、谷山浩子『てんぷら☆さんらいず』のてんぷらはアタゴオルのてんぷら。


(1995.9.22)

 高校時代に日本史をぜ〜んぶ漫画でノートに画きおろした(笑)ことがある。稚拙で恥ずかちくって、今ではちょっち読み返せないけども、入試勉強には役にたったんですー。読むだけでゴンゴン憶わってっちゃうのな♡ 共通一次の日本史ぐらいなら「漫画で覚える」系で十分てゆうことですね。

 本来は“ためになる”のが漫画の目的であってはイケナイ。エンタテインメントの粋を凝らしたうえで!ためになるってゆーんなら認めようぞ。巷に多くみられる学習漫画ってのはココんとこ疎かにしてるのでちうい。面白い→何度も読み返す→憶わる♡て道こそ正しい。

 関ヶ原以降の日本史を楽しみたい方は、みなもと太郎『風雲児たち』を繙かれたし。タイトルに幕末群雄伝てあるけど、未だにホモホモ7の顔で設定されている坂本竜馬は登場してまへん。でもレベル高いよー。大黒屋光太夫の描き方にしても、映画『おろしや国酔夢譚』なんか足元にも及ばない構成・演出の妙!なの。


(1995.9.30)

 今は昔、『うる星やつら』と申す漫画ありけり。単発掲載時に於けるかの副題たるや、音楽のタイトルをもじりてつけられてをり。あやしうこそものぐるほしけれ。おわあ。

 かたや『H2』なる漫画あり。副題をば、そん時のフキダシより引用して決めちょらっせるさま、いふかたもなし。おわあ。

 『楽勝!ハイパー♡ド−ル』のコマンド4“電撃的サスペンス”つーのはマスダミアーの『電撃的ロマンス』こそ元ネタなれ。『頑丈人間スパルタカス』の第12話“行け!暗黒便所ホッケー部”は『行け!!南国アイスホッケー部』なむもじりける。

 あはれ、少年ジャンプの次号予告の副題をしも、あてになるとやはいふべき(反語)。『珍遊記』はさらなり。『まんゆうき』なおつきづきし。ええころかげん、ここに極まれり。されど、おもしろいのでよしとす。おわあ。病気です。誰が?


(1995.10.7)

 CBC原元美紀アナウンサー独占インタビュウ♡パートII

   最近どうっスか。

 由貴香織里のね、『天使禁猟区』がお薦め。私ってタイトルと内容のどっちが先に決まったのか分析するのが好きなんだけど、これに関しては作者が好きな言葉をタイトルにつけたあとお話を作ってたって感じがする。

   フンフン?

 男性誌のサラリーマン漫画に女性キャリアが主人公の『この女に賭けろ』なんかが現れたのって時代だよねー。でもコレ女の人にこそ読んでほしいな。

   フンフンII!

 漫画の文庫本って解説が見たくて買っちゃう。『ガラスの仮面』の解説、大竹しのぶが書いてるんだよ。

   フンフンIII!!

 まんがに出演する♡ってゆうのが夢なの。ハンマープライスに買いに行きたいぐらい。誰か“原元美紀”を描いてくださーい。

   をかべに甲斐性があればねぇ(泣)。

 ねぇ(笑)。


(1995.10.14)

 「つか!」て解る? 笠太郎のお料理漫画で板さんが包丁握る時の擬音でーす。

 そこで今週は!擬音で漫画家さんを特定しちゃおウ♡シリーズ!!

 「ぺきぱぽーい」は安永航一郎。「ビビビビビビビン」は水木しげる。「グワラグワキーン」は水島新司。「ひょいぱくひょいぱくひょいぱく」は高橋留美子。「おじぞぞぞぞ…」は須賀原洋行。「ドテポキぐしゃ」は松本零士。「どげん」はいがらしみきお。「はバリバリ はガツガツ」は谷岡ヤスジ。「ラリロー」は竹本泉。「パァァ…」はさくらももこ。「ずちゃらずちゃら」はどおくまん。「ワンラワンラワンラワンラワンラ」は園山俊二。「ばぼーん!」は荒井清和。「デレデレーン」は杉浦茂。「サタサタサタ」は滝田ゆう。「タプタプタプタプタプタプタプタプ」は井上雄彦。「シチピー」は根本敬。「ガガヒューン」はしろうず秀明。

 それぞれどんな状況で遣われてるかは、各自で調べましょーね。


(1995.10.21)

 続きものの中でキラリノフと光る“この一話”ってのが、連載漫画に於いてもみられることがあるだす。若林健次『ドトウの笹口組』でいうならば、3巻に収録されてる第29話「保険オババ縦横無尽!!」とか、第32話「じっちゃんとパーティー!!」がキラリ☆だし、安永航一郎『陸軍中野予備校』では3巻の第5話「呪われた兄弟」なんかがキラリノフやね。

 設定が落ち着き、キャラがなじんだ頃、「さー作者が本領発揮!」して到達する域といえましょうか。至高の作品なれど、それ単独では存在しえないつートコがまた、諸行無常で有為転変。

 吉田戦車『いじめてくん』に収録されてる「鉄の村松」はマジ、極超キラリノフ。で、この一作を正しく楽しむために『戦え!軍人くん』を全部ずーと読んでこなきゃなんないよ♪ちゅうんがまた空即是色。

 一方、二話目にして最高傑作をものし、以降二度とその高みを超えられず終わるつー悲P漫画もある。雀王でやってた『雀魔血風録』がそれ。


(1995.10.28)

 こいなけ漫画雑誌がウゾームゾー出てると、HGな漫画探すのもひと苦労。そゆ時はね、搦手からのアプローチがよいでせう。

 つーことで今週取り上げる雑誌はテレビブロス!ロスロスロス(残響音)。ファミ通のマネ。

 おそらく編集者の中に漫画に対してすっごい鋭い感性持ってる人いんだろね。つこてる漫画家がちゃうもの、この雑誌。しりあがり寿に始まり、とり・みきにねこぢるに友沢ミミヨに、こないだまでは雨月衣まで載ってた♡ときたもんだ。

 市井の漫画雑誌でわこんな超党派のラインナップできーせんぞ。いろいろ軋轢とかありそだし。畑違いのテレビ誌ならではのHGな作家揃えといえよう。つるかめつるかめ。

 てゆうことで、今後「現在のHGな漫画家は誰ぞや」つう命題にぶちあたったあなたは、テレビブロスさ開いてみるとよろし。そん時そこに載ってる漫画家さんの漫画こそが!HGであろう!! …あるといいよなあ。テレビブロス君は頑張るように。


(1995.11.4)

 連載漫画ってストーリーどこまで考えて画いているのかの考察−ッ。

 連載つーものは人気があったら続くじゃん、フツー。作家がスタート時に「こーゆ話にしよせ」つって決めたとする。もんのすっごい物語性のある漫画だった場合、最終話までの構成キチンと出来ているんだろか。そん時、人気を理由に引き延ばしにあったらどう対処するのだろうか。

 そー考えてくと、『銀河鉄道999』方式の連載つーのはヒジョーにリーズナブルなんですね。最終目的地は決まっている、そこで起こる事件もほぼ決定してる状態で、なんだったら永遠に星めぐりを続けることも可能だし、飽きたらすぐ次の回で到着させることもできるってゆー。多くの連載漫画がこの手法を使ってる訳だわ。

 望月峯太郎『ドラゴンヘッド』はそゆ訳にいくまい。きっと『国民クイズ』みたいに、終わりがきたらスパッと終わるであろ叙事漫画なの。“打ち切り”(ヒ−)と“雑誌廃刊”(ヒ−)にだけはならんどいてね。


(1995.11.11)

 知る人ぞ知る!『気分は形而上』に出てくるこだわりの榎田君の造作ってぇのは、須賀原洋行描くトコロの岩明均の似顔からきてんの。

 漫画家さんつーのはやっぱ職業柄知り合いだの有名人だのの似顔絵とか画くこともあるだろーし、せっかく完成させた似顔なら作中に登場人物として使いたいってこともままありましょう。

 例えば弓月光の漫画の名バイプレイヤー、脳外科の権威で、手術のたびに男女の脳を取り違える医学博士の人浦狂児っつーキャラなんぞ、見たまんま歴史的ファシズム国家の独裁者の顔してはるし。いしいひさいちなんかは、もともとは『がんばれ!!タブチくん!!』にて広岡カントクとして設定した似顔絵キャラを、作家にしてみたりお医者にしてみたり、使い回しまくり放題ー♡みたいなー。内田春菊の描く“叙情派”も、なんや友人の漫画家ゆーことらしいし。

 でもま、最近のベストオブ似顔絵使用は『ナニ金』の泥沼亀之助と枷木でしょう。両方とも宗教系。ね。


(1995.11.18)

 明日は“めるへん堂”のライブがダイヤモンドホールであるので記念「めるへんめーかーに関する若干の考察」を発表する次第ですぢゃ。

 めるさんはペンネームが顕すとおり、メルヘンとかファンタジー系を描く漫画家さんでしゅ。8月付けで発行になったコミックス『夢果つる国の物語』(角川書店)のTea Timeによると、「仕事の山に溺れていた数年前をなつかしく(!)思いながらあと数カ月でほぼ失業」ってファンにとってはちょっちショックな状況らしいのはショックでして。なんかなー。あたかも川崎ゆきおの『猟奇王』の如くリアルな現実に夢が負けてるってゆうか。パンピーの皆さんもRPGとかゲームだけのみならず、漫画でももっとメルヘン系を好めって。

 ま、ペンネームの故に作風が変えれーせんつー自縄自縛状態は、めるさんも認めており、やもーえないんスね。吉田戦車も初期に於いては、ミリタリーおたくかとも思われてたそうだが。

 この項つづく。


(1995.11.25)

 『ちびまる子ちゃん』4巻に収録されてる『夢の音色』の中でさくらももこは、「ペンネームが『毎日生理』や『ん』という漫画家志望者がデビューして、友達になった場合になんと呼ぶのであろうか」つー考察をしている。それを踏まえて、12巻の「まる子 じぶんの未来を見にゆくの巻」に於いて吉田戦車のことを「戦車さん」と呼んでるちゅーのを読むのはまた一興。

 杉作J太郎は知る人ぞ知る、昔は杉作獣太郎ってゆうペンネームやった。女の子にモテへんからって理由で改名したと記憶する。

 島本和彦。本名が手塚とゆう苗字で、まんがの神様に対して申し訳がないつってペンネームにしたげな。

 ひすゎしは、本名が田中久志だからひすゎし。

 柏屋コッコは、カシワ→黄鶏→鶏→コッコだそうで、漫画の登場人物も大部分がその名前を食べ物に懸けてあるっちゅー凝りよう。

 しりあがり寿だの凄い名前の漫画家も多くて。

 この項もつづく。


(1995.12.2)

 こんな名前の漫画家が存在するってだけでも、漫画界に籍を置く者として誇らしく思うね。フトコロの深さつーより、可能性の広さだの才能の多様さとゆー点に於いてね。

 朝倉世界一! 人間の名前のくせに世界一!! こんなギネス級のネーミングがほかにあろうか!? ドリームズ・カム・トゥルーってゆう名前も確かに凄い。文章やんか。名前ちゃうやろ。名前って、もっとこう、名詞ってゆうか。

 世界一は名詞だ。こんな素敵な名前には、たけし軍団か大川興業でしかお目にかかれまい。…結構お目にかかれるのか。まーいーや。

 『フラン県こわい城』がコミックスになった。双葉社刊。の中に、シリーズものの4コマでちんこくらぶとゆーネタがある。コミックスにはこの架空のちんこくらぶの入会申込書がついているのだ。「申込書はコピーしてかまいません」の一言に、シャレだけどマジで募集してんだって、ちょっとカンドーしちゃって、ええ。申し込みましたとも。私モネ。


(1995.12.9)

 赤塚不二夫『レッツラ・ゴン』はをかべのギャグのバイブルつってもイー名作であります。多感な(笑)中学時代に、これ読んで“面白ければナニやったっていい”ちゅう真理を学んだのでしたぁ♡ も下ネタから楽屋オチから何だってありってゆう、ハマった人にはこたえられないムチャ面白い漫画だったですが、世の評判はそんなばっかりぢゃあなかったらしいです。「エキセントリックすぎて読者がついてこれなかった」とか書評に書いてあんの読んだことあるます。

 『江口寿史のお蔵出し』(イースト・プレス)って本の『まえがき』で出版社の人が「作者本人と読者の面白がり方は違いますから」とかって言ってるけど、これ以外に“読者によっての面白がり方の違い”つーのもあるから漫画ってば難ちい。

 『ウォッカタイム』なんかは片山まさゆきの最高傑作の一つだと俺ぁ思うんだけれども、巷の評判は作者本人が認識しているとおり、「サードライナー」なんだもんよなぁ。


(1995.12.16)

 大垣女子短期大学でマンガ論をば教えちょる訳ですが、明後日は“原作付き漫画とコミカライズ”とゆー演目で講義を行いますじゃ。

 コミカライズものつったら今年はけっこイーのが出版されてんすね。ひとつは雑誌ですがガロ9月号で、特集が「宮澤賢治の世界」つー。畑中純の版画がかくも効果的に物語世界を表現している様をわたしはほかに知らないったら! あと、矢吹申彦の四コマもしゅきでしゅー。ガロのバックナンバーを取り寄せてでもご覧なさいな。

 そんで、もーひとつっちゅーのが『筒井康隆涜本』(実業之日本社)でして。17人の作家が、筒井康隆の短編を描き下ろしで漫画化してるんだけど、編集部が前置きしてるように「原作を解体・再構成したもの」をも含んでいて、“コミカライズ”の可能性だの地平だのを論じるのにはけっこー恰好のテクスト足りえてるんではって気がして。よいよね。

 ちょびっと難癖つけるなら、いちごミルクの苺はつぶして欲しかった。


(1995.12.22)

 ザテレビジョンの探訪シリーズで新作アイスの特集だの激辛スナック食べ比べだの、缶入り飲料徹底比較だのカップめん大研究だのなんかが取り上げられてたりすると切り取ってファイルしたくなる僕ってちょっぴり食いしん坊さん?

 そんな私にぴったりの雑誌“新・食べ物エンジョイ情報誌”月刊ハラペーニョをご紹介♡ も全ページ挙げてレトルトやら冷凍食品やらお菓子やら、ジャンクフードで満載されてて。今までにない、画期的なコンセプトの本になってんの。

 新しい視点で構成されている雑誌だけあって、漫画家に関しても惜しげない贅沢な起用がなされててェ。例えば12月号の酒の特集でイラストを担当しているは、『江戸前・あ・めーりかん』の藤波俊彦だったり。

 どどんとグルメコミックなーんて手垢にまみれたよーなのが載っとれせんちゅースタンスにも好感が持てましゅ。この雑誌に於いて漫画は主従の従。そーゆー土俵の上で、可能な限りの高レベルめざしてござる。


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