家へ帰ると中が真っ暗だった。戸を開けて中にはいると純たちが歌を唄って迎えてくれた。蛍は、老眼鏡をプレゼントし、純は自慢げ電灯をつけた。五郎は、純に話があると言い、何故自分に相談しなかったのか問いただした。純は、五郎が困るからと答えた。そして、今日は誕生日なのだからその話は後にしようとしたが、五郎はやめなかった。純は五郎を突き飛ばし、情けないと言った。そして、何故風力発電のことを喜んでくれないのか今日は五郎の誕生日なのにと言って家を飛び出した。草太は純を追いかけ、五郎に謝るように諭した。そのとき、霜警報のサイレンが鳴った。純は、家に戻ると五郎に謝った。そこへ中津が大里の家の小豆が霜でやられるから手伝ってもらいたいと言いに来た。五郎は、人がいいのもいい加減にしろと怒鳴った。
大里の家では、政吉が下の畑の様子を行くために、車をバックさせたところコンテナにぶつけ、妻がその下敷きになってしまった。
12月になり、純は東京の雪子に中学を卒業したら富良野の高校へ進学することにしたと手紙を書いた。町の書店から出ると、道の反対側にれいちゃんが立っていた。八幡丘の坂を二人で歩いた。れいちゃんがクリスマスの日にあの納屋で会いたいと告げた。純たちには既に計画していることがあったが、会うことを約束した。そして、れいちゃんから卒業式の日に二人で札幌の天窓のある喫茶店へ行かないかと誘われ、純は胸がドキドキしていた。
クリスマスの日、純たちはそりでいくつかの家へプレゼントを配っていた。れいちゃんの家の前まで来ると家には灯りがなかった。広介がプレゼントを持って、玄関に立つとそこには一枚の張り紙があった。大里の一家は夜逃げしたのだった。純は、家に戻るとしばらくして外に出た。そして、約束の納屋へ向かった。納屋に着き、中にはいると誰もいなかった。純は、わらの上に置かれた手紙と紙包みを見つけた。それは、れいちゃんからのクリスマスカードとプレゼントだった。カードには、「急に遠くへ行くことになりました。黙って行っちゃってゴメンナサイ。純君のこと大好きです。いっぱいいっぱいいいことあるように。れい」と書いてあった。プレゼントには、尾崎豊のテープとカセットだった。
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