それから三日後大里の家の脇道で壊れた風力発電の機械をさわっていると大里のおじさんが現れ、倉庫にあった古い自動車の部品を純に使ってもいいと言ってくれ、純はその倉庫で風力発電の作業をし始めた。

 ある日、富良野地方を大雨が襲い、チンタの家のニンジン畑が大水で土地が流されてしまった。純は、五郎に畑が流れた原因は化学肥料ではないかと聞く。五郎は、大里からの入れ知恵だと察し、最近大里の娘の尻を追っかけていると噂されていると純に言う。純は、大声で怒鳴るが、五郎は黙っていた。純は、そんな五郎の自分に対する遠慮した態度に傷ついていた。

 純とれいは、日の出前に山にキノコとりに出かけた。純は、雪子からの返事がきたが、五郎に内緒ではだめだと言ってきたことをれいに話した。れいも父親を捨てて東京に出ることで悩んでいた。突然、二人の前にチンタと広介が現れる。チンタは、二人を見るなり手で挨拶をして走り去った。広介もチンタの後を追っていった。その日、学校へ行くとチンタは欠席しており、広介も純を無視していた。純は、帰りに広介に話しかけるが、チンタは自殺するぞと脅される。帰りに、大里の倉庫で風力発電の作業をやっているところへチンタが現れる。チンタは、れいのことや家のことで相当なダメージを受けており、純は何も言ってやれなかった。

 その夜、公民館に畑が流された中津のことで農家の人たちが集まった。そこで、度重なる中津の失敗に対して大里は連帯保証を拒否した。五郎は、そのことに不満だったが、自分にはそれをはね除けるだけの力がないことが情けなく感じていた。五郎は、家へ帰ると酒を飲み始めた。そこへ、れいが風力発電の雑誌を持って訪ねてきた。五郎は、昔大里の家をみんなで助けたことがあるのに、今度のことで中津を助けたくないというのは自分勝手だとれいに言ってしまう。純は、子供には関係ないと怒鳴る。れいは、走って家を飛び出し、純もれいを追いかけていった。アイコとのデートを終えて帰宅した草太は、純を見つける。純は、草太に10万円貸しほしいと頼む。草太は、詳しい話を聞くために純を家の中へ誘った。

 五郎の誕生日の日、みんなが手伝って、純の作った風力発電を家の屋根に上げ、五郎の帰るのを待っていた。五郎は、中畑に純が中学校を卒業したら東京へ出たいと考えていることを話す。ところが、中畑は草太からそのことを聞いて知っていた。五郎は、知らなかったのは自分だけだったことにショックを受けた。

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