翌朝、正吉は、部屋の掃除を精力的に行い、純が話をするきっかけを作ろうとしても一切相手にしなかった。夕方、富良野駅に正吉を送りに出かけた。純はみんなから少し離れたところに立っていた。そこで、正吉から努を見ていると富良野へ来た頃の自分と同じだったと言われショックを受ける。

 蛍がホームの隅に顔を出すみどりの姿を見つけ、正吉はみどりのもとへと走っていった。列車がホームに入り、二人は一番後ろの昇降口から乗った。みどりは、頭を下げ列車は動き始めた。純は、正吉の姿を探しに列車と一緒にホームを走ったが、ついに正吉は顔を出さなかった。その夜、中畑たちと別れ、三人でラーメン屋に入った。純は、努のズボンのこと、パソコン雑誌のこと、いかだのことを正直に五郎に話した。そして、あの丸太小屋の火事のことも正吉ではなく自分がストーブの上に衣類を掛けたこも打ち明けた。五郎も、前に風力発電のことで純に言われたとき、だんだん人に頼ろうとしていた自分に気がついたと話した。

 今年も、8月5日にいかだ下り大会があったが、見ているだけで参加はしなかった。いかだ下り大会が終わると、富良野にはもう秋がそこまで近づいてきてた。

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