五郎は、八幡丘へ車を走らせ、草太の牧場の前で車を止めたが、家には寄らずに、富良野の駒草へ走った。こごみは、仕事を辞めてしばらく帯広へ行っていたと五郎に話した。
雪子が東京へ帰る日、純と正吉は見送るのがいやで、努を誘って空知川へ行った。そして、草太のいかだで川に繰り出した。途中で、努が竿を落としてしまい、三人とも川に落ちてしまう。努が溺れかけたが、二人で川岸に引っ張り上げて大事にはいたらなかった。しかし、努は、純たちがパソコンの雑誌を盗んだことを知っていると言ったため、純と正吉は努を置いて先に帰ってしまう。途中で、努のズボンを一緒に持ってきてしまったことに気づくが、純から泥棒したのはお前だと言われた正吉は、川に投げ捨ててしまう。そして、正吉は「相変わらず、おめえは汚え野郎だな」と言われ、ショックを受ける。
その頃、蛍は五郎たちと雪子を見送りに富良野駅にいた。純たちがなかなか現れないので蛍は駅の外へ見に行った。すると、書店の前に草太のバイクを見つける。蛍には、草太の気持ちがよくわかっていた。草太は、蛍を乗せて、昔蛍が母令子を送った空知川沿いの列車の見える場所へバイクを走らせ、二人で見送った。雨が降り出し、空知川には「YUKIKO」と書かれたいかだが壊れて雨に濡れていた。途中で、雨にずぶ濡れになって震えている努を見つける。
家に戻っていた、純と正吉は口も聞かずに黙って、みんなの帰りを待っていた。あたりが真っ暗になって草太が蛍を連れて帰ってきた。純たちは、草太から努が肺炎を起こして入院したことを知らされ、驚く。草太は、純と正吉が自分に同情して見送りに行かなかったのは筋違いだと言って諭した。10時過ぎ、純は五郎に呼ばれた。五郎は、努のズボンのこと、パソコン雑誌のこと、さして草太のいかだのことを純に聞いた。純は、どれも正吉だと答えた。そして、最後に、正吉は明日引き取る人が来ると知らされた。
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