五郎は、蛍から今朝雪子に電報が来て、その後部屋からしばらく出てこなかったと話した。

 へそ祭りの日、みんなで見に行くことになっていたが、雪子は、草太と会う約束があるということでひとあし先に街に行っていた。雪子は、草太に結婚ができなくなったことを告げた。以前つき合っていた人が春に離婚して、一緒になることにしたのだった。そして、今日、その人が五郎に挨拶するために富良野へやって来ると言った。草太は、ショックを受ける。草太は、駅で雪子がその男を出迎えるのを改札口で見ていた。

 その頃、五郎たちはへそ祭りを見ていた。五郎は、その中に踊るこごみの姿を久しぶりに見た。そのとき、蛍が一人歩いている草太を見つけ、大声で呼ぶが、草太は気がつかずに路地に消えていった。

 祭りを見てから、蛍がパソコンをやりたいといったので中畑の家へ寄った。蛍と努とすみえはパソコンのゲームに夢中になっていたが、純と正吉はテレビを見ていた。純は、パソコン雑誌が見たくてたまらなかったが、努に頭を下げるのがいやで、見栄を張っていた。努が、風力発電のことで五郎を侮辱したことに腹を立て、二人は中畑の家を出た。すると、正吉がさっき純が手にしていたパソコン雑誌を黙って持ってきていた。正吉は、純が雑誌をほしそうにしていたから持ってきてやったのだと純に言った。家に帰り、純は、そんな気持ちはなかったと正吉に言った。正吉は、「やっぱりお前は汚え奴だなあ」と言って、二階へ上がっていった。正吉の言ったこの言葉が純の心にぐさっと突き刺さっていた。

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