次の日、正吉は蛍から届いた年賀状に喜んでいた。そこへ、草太がラーメンを食べに行かないかと誘いに来た。草太は、二人を妙子の勤める三日月食堂へ連れて行った。純と正吉は草太から千円を渡され、食べ終わったら帰るように言われたが、草太の車の中にこっそり隠れた。草太と妙子が店から出てくると時夫がやってきた。草太は時夫にあきらめろと言って、妙子を乗せて車を走らせた。草太は、妙子に正吉の母のみどりが作った借金を五郎がかかえて困っており、松吉が自分の山を売ってくれればいいと言っていたと話した。車内で話を聞いてしまった純と正吉は、車が布部のラーメン屋に着くと車から降りた。純はその話しにショックを受けていたが、正吉の方が自分よりもっとショックを受けていることに気がついていた。二人は、そのあと無言のまま歩いて帰っていった。
ラーメン屋に入った草太と妙子は、さっきの話の続きをしていた。妙子は、松吉の話は全部昔の話して松吉が錯覚しているのだと言った。その頃、松吉は蛍と一緒に杵次の墓に来ていた。松吉は、蛍から杵次が橋から落ちて死んだことを知らされる。
草太が家に帰ると、五郎と中畑が来ていた。清吉は、五郎に早まって土地を手放さないように説得していた。草太は、松吉の申し出の話が出たところで、松吉の言っていることは全部嘘だと話した。
五郎が、丸太小屋へ帰ると、屋根の雪はねがやってないのを見つける。家の中にはいると正吉が花札を一人やっていた。雪はねがしてないことを叱責するが、正吉は後でやると言った。五郎はそんな修吉の様子が腹立たしく思い、花札を窓から外へ投げ捨てた。正吉は、しばらく黙っていたが、突然家から飛び出していった。その後を純が追ったが、正吉は雪道を走り去った。蛍は、捨てられた花札を拾いながら五郎に正吉も土地と家をとられることを知っていると話した。
夜になっても飛び出した正吉は戻ってこなかった。五郎が外へ出るとみどりがやって来た。五郎は、みどりを富良野の駅まで送った。みどりは、今回のことでもうここには戻ってこれなくなったと言うが、五郎は金のことはいいから戻って来るように励まし、正吉もしばらく預からせてもらいたいと言った。みどりは、そんな五郎の優しさに涙した。11時を回っても正吉は戻ってこなかった。純が夜中に目を覚ますと五郎が一人吹雪の窓の外を見ていた。
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