素直ヒート

ヒート 2

スレ 【赤い綱で】素直ヒート【結ばれているッ!!】
No >>406〜
日時 2010/11/21(日) 03:29:30
本文
風もなくぽかぽかとした小春日和の昼。
屋上には若い男女達がいた。
ほとんどはカップルで、暗黙の了解宜しくある程度の距離をおいて座って
談笑しつつ昼食のお弁当を食べている。
そんな所にヒートと和久は来た。

入口で立ちつくす2人。
少し遅く来たので
ベンチや周囲の見晴らしの良い所や段差で椅子替わりになる所は全て占拠されており
一番人気のない真ん中しか空いていない。
「真ん中しかないようですね?」
「うう、和久との距離を縮める機会になんたる不運!!」
「ま、諦めましょう」
「和久はここで私とランチdeデートをしたくないのか?!」
「ランチでなんとかはともかく昼食は食べたいですよ。
 今日はお弁当を作ってくると言われたから何も買ってないんですから」
「では中庭に移動だ!!」
くるっと踵を返し扉を開けようとするヒート。
和久はその肩に、ぽんと手を置き言う。
「待って下さい。ここで良いじゃないですか」
「しかし、真ん中は…」
コンクリートの床は日差しで冷たくはないがこまめに掃除をする場所でないので
砂埃などが気になるヒート。
通常なら汚れも気にせず座るヒートだが
愛する和久とのランチでは気にもなる乙女心。
そんなヒートを見て和久は提げていたナップサックを開けて何かを取り出した。
「御安心を。こんな事もあろうかとこんな物が」
ナップサックから和久が取り出したのは折り畳まれたレジャーシートであった。
「おぉ!!」
広げたレジャーシートの上にヒートと和久が対面している。
共に座布団替わりにタオルを詰めた袋に座っている。
そんな2人の間にはヒートの持っていた大きな袋。
「さぁ、お待ちかねのお弁当です!!いったい、何が飛び出すでしょうか!!
 期待と不安で胸がいっぱいです!!」
「いや、普通のお弁当ですよね?」
ツッコむ和久を無視しヒートは袋の紐を緩め両手をつっこんだ。
「せぇ〜の、ごたいめ〜ん!」
どん、どん、と取り出されて置かれたのは…
「ランチ…ジャー?」
「そう!ランチジャー!
 どんな持ち運び方でもこぼれず、保温効果でいつでもあったかごはん!」
最後は握り拳を作って力説するヒート。
「まさに貴女の為のお弁当箱ですね」
「そんなわけで〜今日は和久の好きな物を入れたぞ〜」
「それはそれはお心遣いありがとうございます」
にこにことランチジャーから中箱を取り出していくヒートに合わせて和久も取り出していく。
「ささ、私の努力の結晶を食らうがいい!!」
「はぁ、それではいただきます」
中箱は3つ。
かぱっと和久は中箱の蓋を開ける。
白いご飯がしっかりとつめてある。
もう1つの中箱の蓋を開ける。
香辛料と思われる粉のかかったチキンと
ポテマヨサラダと赤い赤い福神漬けがある。
それを見て和久の動作は止まった。
「ん?どうした?」
「まさか…」
和久は残った中箱の蓋を開けた。その途端、鼻腔をくすぐる独特の匂いが周囲にあふれる。
「やっぱり…」
それはカレーだった。
「この計画(ランチdeデート)の為に母上に新たに調合してもらったスパイスは凄いぞ!!
 試食してみたが一過性の刺激ではなく普遍的な魅惑というなんとも素晴らしい理論に基づいて
 …いやいや!!さぁ論より証拠!!食べてみてくれ!!」
「なんでカレーなんですか?」
「和久はカレーが嫌いか?」
しょんぼりと上目遣いで見るヒート。
「いやカレーは好きですが、でも、お弁当にカレーは…」
「駄目なのか?」
「う…できればカレーはお皿で食べたい方ですが…折角、作っていただいたわけですし…
 喜んで食べさせてもらいます」
「そうか!!そうそう、スプーン!」
「あ、どうも」
和久はスプーンを受け取りご飯にルーをかけて食べた。
「どうだ?!」
身をのりだしてヒートは聞く。
「ふむ。確かに今回のは前とは違う様ですね。美味しいです。微かな甘さもいいですね」
「うんうん!!飴色まで炒めた玉ねぎが効いているのだ!!」
「カレーだからこれはタンドリーチキンというわけですね。あ、スパイシーだ」
「それも漬けてから焼いて、特製スパイスをまぶしてある!!」
「これだけでもご飯が何杯もいけそうですね」
正直、美味しいと和久は思った。
自分の為に努力してくれた事もその指の絆創膏の数でわかる。
そして評価に一喜一憂しているヒートもより一層可愛らしいと思えた。
だからこそカレーだという事を駄目だと思った事を恥ずかしく思う。
「すみません」
「?」
ぺこりと頭を下げる和久にヒートはきょとんとしている。
「カレーのお弁当でも良いですね。食べる前から決めつけてすみませんでした」
「か、和久が謝る事など全くないぞ!!私は食べてもらえればそれだけで嬉しい!!」
「そう言ってもらえると救われます」
「さ、さぁ、私も食べよう!!」
なんだか顔を赤らめつつヒートは自分の中箱の蓋を開けていった。
それを微笑を浮かべ見ていた和久の顔が陰る。
「あ、あのぅ、ヒートさん?」
「ん?なんだ?」
「そのお弁当は…」
「ん、これか?見ての通り、おかかごはんとおかずセットと味噌汁だ」
「えぇ、それはわかるのですが…何故、私だけカレー…」
「和久にはカレーを食べてもらいたかったからだ!!」
「私のもそれにする気はなかったんですか?」
「駄目だ!和久の分まで作っていたら絆創膏だけではすまなくなりそうだ!」
「自分のでけがしたんですか」
「しかし、明日は私もカレーにするから心配するな!」
「もうお弁当はこりごりです…」
「何故だーーーーーーーーーっ!!!」
<おまけ>
「ただいま帰りました、母上!」
「おかえり、ヒート。首尾はどうだったかね?」
「食べてもらえましたが次回からの確約は取れませんでした!!」
「まぁ食べたなら御の字だ」
「では男の腹を掴む作戦は成功と言って良いのでありましょうか?!」
「あぁ。私もカレーで捕まえたのだ、きっとうまくいく」
「私も父上のように和久を必ずや篭絡するであります!!」
「頑張れ、ヒー。母も微力ながら援助するぞ」
「はい、母上!!で、次回の作戦でありますが…」







解説 カレーでランチジャーは母譲り。
ランチdeデートは一目〜のあれがもとネタ。