畑に収穫の秋がやってくる頃、螢が富良野に戻ってきた。結婚式が1月に決まり、それまでは五郎と一緒に住むことにしたのだった。草太の牧場にシンジュクが血相を変えてやってきた。シンジュクは、中畑和夫から螢のお腹の子は正吉の子ではないと聞かされと言ってきた。草太は、誰にも言うなと言ったが、草太が中畑にしゃべったことで、秘密では無くなってしまうとシンジュクは草太を攻めた。草太は、螢だけには幸せにしてやりたいと言った。10月10日、今年始めて雪虫を見た。
ある日、純はニングルテラスの雪子を訪ねたとき、螢のお腹の子は正吉の子ではないかもしれないと五郎が言っていたと聞かされ、螢の子の父親について疑問を抱くようになった。中畑から言われたことが気になっていた五郎は、螢の鞄に母子手帳を見つけ父親の欄が未記入になっていることを知った。五郎は、上砂川のシュウを訪ねた。五郎は、シュウと夕食を共にしながら、シュウから純に連絡を取ってくれるように頼んだ。
完次とツヤ子が農家の連帯保証人達に呼ばれた。草太は、完次がつくった借金はこれ以上肩代わりはできないから、ここからさっさと出ていくように言った。広介からその話を聞いた純と正吉が完次の家に行くとツヤ子と五郎が居た。完次は組合長のところへ行っているらしかった。純達は、とりあえず五郎の家に戻った。純と正吉がアパートへ戻ろうと家を出るとツヤ子が走ってやってきて、完次がどこの家にも居ないと話した。完次は、借金を苦に農薬を飲んで自殺しようとしているところを発見され、助けられたのだった。
ある日、純が仕事を終えるとシュウが会社の前で待っていた。シュウは、クリスマスプレゼントといって日記を純に渡した。その夜、二人は島ノ下のモーテルへ行った。待っている間、純は螢のお腹の子のことをシュウに聞いてみた。シュウは、正吉なら男ぽいからあり得ることだと言った。
完次の一家が富良野から消えたのは、それから三日後のことだった。純は、完次の持っていた土地の大部分を草太がとったと正吉から聞かされた。純は、最近の草太の考え方ややり方に不満を抱き始めていた。五郎に、そのことを話すと人の悪口は言わない方がいいと言われた。その翌日の夜、純は草太に呼び出され、自分のやっている仕事を一緒にやらないかと誘われた。そして、明日完次から引き取ったトラクターを運ぶのを手伝ってくれないかと頼むが、純は強く断った。翌日、シュウへのプレゼントを買いに雪子の店を訪ねるとそこへ五郎から草太が倒れたトラックの下敷きになって死んだという電話がかかってきた。
純は、草太の手伝いを断ったことに心を痛めていた。五郎は、シュウに電話し、純のそばにしばらく居てくれるように頼んだ。純は、シュウと会って少し落ち着きを取り戻したが、草太が死ぬ前の日の夜雪子の店にやってきて純は自分の弟だからこれからのことが心配だと言っていたと雪子から聞かされ、号泣した。
その翌々日、草太の告別式が行われた。その夕方から、また雪になった。正月に入ってしばらくしてから、草太の家で純と正吉に新吉から草太の牧場をやってみないかという話があった。翌日7時にくまげらへ行くと螢の結婚式の話だった。その話を聞いた純は中止するように頼むが受け入れてもらえなかった。ある日、純と正吉が五郎の家に行くと草太から螢の結婚式の衣装が届けられていた。正吉は、草太の計画した結婚式をやってもらってもいいと純に言った。
螢は、今夜から下で寝る言い出した。螢は、五郎に昔母令子と結婚した日に何を話したのか聞いた。五郎は、結婚してくれてありがとうと言ったら令子が怒ったと話した。
結婚式の当日、花火が打ち上げられリムジンが迎えに来た。五郎は、機嫌を損ね結婚式には行かないと言い出してしまった。五郎は、いつもの作業着に着替え炭焼きを始めだした。それから説得するのに2時間半かかった。
麓郷神社で結婚式が行われ、披露宴は北の峰の会館で進行した。その席で、草太のスピーチ練習の録音テープが流れ、出席者達は、皆昔ことを思い出していた。それから、螢達をホテルに送り、町で行われた二次会の席で五郎は切れたように酔っぱらった。純は、シュウに電話をし、五郎をタクシーで家まで連れて戻り、酔っぱらった五郎を家の中にに何とか連れて入った。五郎はふところに令子の写真を忍ばせていた。純は、その写真をそっと机の上に置き、五郎に布団を掛けると五郎は純の手を握り眠りについた。 |
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