![]() 1987年3月27日(金)放送 |
出演 田中邦衛・吉岡秀隆・中嶋朋子・美保純・横山めぐみ・レオナルド熊・布施博・坂本長利・鶴田忍・地井武男・古尾谷雅人・古本新之輔・永堀剛敏・小林トシ子・多田幸男・関時男・南雲佑介・神田正夫・三川雄三・田村元治・山崎満・加藤治・石黒正男・麓郷中学校のみなさん・岩城滉一・竹下景子 |
純は、地元の麓郷中学校に通っていた。純は、いろいろな物を分解するのが趣味だった。そのため、電気屋のシンジュクはよく修理のため呼び出されていた。この日も、純が柱時計を分解しているところへシンジュクがやって来た。5日前に車のヘッドライトが分解されたことに腹を立てていたのだった。五郎は、近頃純のことが段々わからなくなってきていると担任の先生にほやいた。 学校帰りに、広介からチンタに好きな女の子がいることを知らせれる。人参工場の裏の空き地でチンタは、二人に次の土曜日に見せると約束した。そこへ広介の姉のアイコが現れ、つららが宜しくと言っていたと草太に伝えるように頼まれた。その帰り道に、近所の大きな農家の大沢家の裏手の中の沢沿いの脇道で壊れた風力発電の機械を見つけ、分解を始めると鏡で光を当てる女の子が現れ、近づいてきた。純はとまどい、その女の子の手から自分の道具を奪い取り、その場から走り去った。その夜、純は蛍に大里の家の女の子のことを聞き、その子の名前が「大里れい」と知る。純は、五郎のあきらめた風力発電をれいの家の部品を利用して、五郎の誕生日にプレゼントしようと考えていた。 次の土曜日純たち三人は、富良野の町へチンタの彼女を見に出かけていった。その子は、毎週土曜日にジャズタンススクールに通っているといい、3人は窓越しから覗いた。ところが、その子は大里の家のれいだった。純の心は、ドキドキしていた。二人と別れ、一人家路を歩いていると、草太がバイクで現れた。純は、広介の姉からの言づてを伝えた。草太は、人参工場へ広介の姉を訪ねる。アイコは、つららが結婚して子供も出来たことを話す。草太は、それを聞いて安心し、アイコを町へ誘った。 翌日、純は町へ出てシンジュクを訪ね、風力発電のアドバイスを受ける。帰りのバスが八幡丘の坂を登りはじめてしばらくすると自転車のチェーンを外してしゃがんでいるれいを見つけ、つぎのバス停で降りて、急いで引き返す。そして、自転車を直してやるが、れいは「ありがとう」と言って走り去った。純が、落胆して歩いているとれいが待っていた。にわかに天気が怪しくなり、雨が降り出す。二人はれいの家の納屋に雨宿りする。そこで、れいが中学を卒業したら東京へ出て、働きながら定時制高校に通うつもりでいることを聞かされる。その夜、純は東京の雪子へ中学卒業後東京へ一人で出たいと手紙を書いている途中で寝てしまい、二階に上がってきた蛍に読まれてしまう。 それから三日後大里の家の脇道で壊れた風力発電の機械をさわっていると大里のおじさんが現れ、倉庫にあった古い自動車の部品を純に使ってもいいと言ってくれ、純はその倉庫で風力発電の作業をし始めた。 ある日、富良野地方を大雨が襲い、チンタの家のニンジン畑が大水で土地が流されてしまった。純は、五郎に畑が流れた原因は化学肥料ではないかと聞く。五郎は、大里からの入れ知恵だと察し、最近大里の娘の尻を追っかけていると噂されていると純に言う。純は、大声で怒鳴るが、五郎は黙っていた。純は、そんな五郎の自分に対する遠慮した態度に傷ついていた。 純とれいは、日の出前に山にキノコとりに出かけた。純は、雪子からの返事がきたが、五郎に内緒ではだめだと言ってきたことをれいに話した。れいも父親を捨てて東京に出ることで悩んでいた。突然、二人の前にチンタと広介が現れる。チンタは、二人を見るなり手で挨拶をして走り去った。広介もチンタの後を追っていった。その日、学校へ行くとチンタは欠席しており、広介も純を無視していた。純は、帰りに広介に話しかけるが、チンタは自殺するぞと脅される。帰りに、大里の倉庫で風力発電の作業をやっているところへチンタが現れる。チンタは、れいのことや家のことで相当なダメージを受けており、純は何も言ってやれなかった。 その夜、公民館に畑が流された中津のことで農家の人たちが集まった。そこで、度重なる中津の失敗に対して大里は連帯保証を拒否した。五郎は、そのことに不満だったが、自分にはそれをはね除けるだけの力がないことが情けなく感じていた。五郎は、家へ帰ると酒を飲み始めた。そこへ、れいが風力発電の雑誌を持って訪ねてきた。五郎は、昔大里の家をみんなで助けたことがあるのに、今度のことで中津を助けたくないというのは自分勝手だとれいに言ってしまう。純は、子供には関係ないと怒鳴る。れいは、走って家を飛び出し、純もれいを追いかけていった。アイコとのデートを終えて帰宅した草太は、純を見つける。純は、草太に10万円貸しほしいと頼む。草太は、詳しい話を聞くために純を家の中へ誘った。 五郎の誕生日の日、みんなが手伝って、純の作った風力発電を家の屋根に上げ、五郎の帰るのを待っていた。五郎は、中畑に純が中学校を卒業したら東京へ出たいと考えていることを話す。ところが、中畑は草太からそのことを聞いて知っていた。五郎は、知らなかったのは自分だけだったことにショックを受けた。 家へ帰ると中が真っ暗だった。戸を開けて中にはいると純たちが歌を唄って迎えてくれた。蛍は、老眼鏡をプレゼントし、純は自慢げ電灯をつけた。五郎は、純に話があると言い、何故自分に相談しなかったのか問いただした。純は、五郎が困るからと答えた。そして、今日は誕生日なのだからその話は後にしようとしたが、五郎はやめなかった。純は五郎を突き飛ばし、情けないと言った。そして、何故風力発電のことを喜んでくれないのか今日は五郎の誕生日なのにと言って家を飛び出した。草太は純を追いかけ、五郎に謝るように諭した。そのとき、霜警報のサイレンが鳴った。純は、家に戻ると五郎に謝った。そこへ中津が大里の家の小豆が霜でやられるから手伝ってもらいたいと言いに来た。五郎は、人がいいのもいい加減にしろと怒鳴った。 大里の家では、政吉が下の畑の様子を行くために、車をバックさせたところコンテナにぶつけ、妻がその下敷きになってしまった。 12月になり、純は東京の雪子に中学を卒業したら富良野の高校へ進学することにしたと手紙を書いた。町の書店から出ると、道の反対側にれいちゃんが立っていた。八幡丘の坂を二人で歩いた。れいちゃんがクリスマスの日にあの納屋で会いたいと告げた。純たちには既に計画していることがあったが、会うことを約束した。そして、れいちゃんから卒業式の日に二人で札幌の天窓のある喫茶店へ行かないかと誘われ、純は胸がドキドキしていた。 クリスマスの日、純たちはそりでいくつかの家へプレゼントを配っていた。れいちゃんの家の前まで来ると家には灯りがなかった。広介がプレゼントを持って、玄関に立つとそこには一枚の張り紙があった。大里の一家は夜逃げしたのだった。純は、家に戻るとしばらくして外に出た。そして、約束の納屋へ向かった。納屋に着き、中にはいると誰もいなかった。純は、わらの上に置かれた手紙と紙包みを見つけた。それは、れいちゃんからのクリスマスカードとプレゼントだった。カードには、「急に遠くへ行くことになりました。黙って行っちゃってゴメンナサイ。純君のこと大好きです。いっぱいいっぱいいいことあるように。れい」と書いてあった。プレゼントには、尾崎豊のテープとカセットだった。 納屋の外へ出ると、雪の上にれいちゃんの足跡があった。足跡は、まっすぐ納屋の中に入り、表へ出たところでもう一度立ち止まり振り返ったらしかった。そこへ蛍が現れ、卒業式が終わったら東京へ発つようになっているからと伝えに来た。純はそんな蛍にもう遅いと言ってしまう。蛍は、今更そんなことを言わないでほしいと純をたしなめた。五郎は、純に「辛くなったらいつでも戻ってこい。故郷へ戻ることは恥ずかしいことではない。」と話した。 卒業式が終わると、純は五郎と蛍に見送られ、定期便のトラックに乗った。走り出すトラックと一緒に蛍は走った。そして、れいちゃんの居場所がわかったら連絡すると純に言った。純は、運転手に「よろしくお願いします」と言って、カセットのボタンを押してれいちゃんを思い出していた。突然、運転手にイヤホンを外され、封筒を受け取るように言われた。それは、五郎が運転手に置いていったお金だった。純は断るが、泥の付いたピン札は受け取れないから記念にとっておいて自分の宝にするようにと運転手が言った。純は、その袋から泥の付いた二枚の壱万円札を取り出し、東京から北海道へ来てから今日までの五郎と蛍と過ごしてきた生活を思い起こし、涙した。 定期便のトラックは、空知川に掛かる橋を渡っていた。 |