1984年9月27日(木)放送
出演
田中邦衛・竹下景子・吉岡秀隆・中嶋朋子・岩城滉一・清水まゆみ・今井和子・児島美ゆき・伊佐山ひろ子・立石凉子・今野照子・中沢佳仁・六浦誠・塩月徳子・粟津號・塔崎健二・南雲佑介・末吉敏男・後藤寛子・三須知子・河村有実子・木曽秋一・三田恵子・原てい光・大塚美枝・後藤正人・一橋大介・林美智子・村井国夫・地井武男・大滝秀治

 純と正吉が中畑すみえを牛の膀胱とトウキビの毛でつくった人形で驚かした。その知らせを聞いて五郎と中畑が駆けつけてきた。

 正吉の母のみどりから五郎に手紙が届いていた。今年の冬に丸太小屋が正吉の不始末で焼けてしまったことへの謝罪と8月になったら正吉を引き取りに行くことが書かれていた。

 夏休みに入ってすぐの頃、東京から中畑和夫の妹のゆり子が息子の努をつれて来ていた。純と蛍と正吉は、努を紹介されるが、努は愛想がなかった。努は、東京からパソコンを持ってきていた。それを見た純は、とてもうらやましく思えた。純と正吉がパソコン雑誌を開いていると努が「汚すなよ」と言ったことに二人は腹を立て、部屋を出ていった。

 五郎は清吉を訪ね、今度の家に住むようになって、何とか北電に電気を通してもらおうと佐々木という人を通して頼んでいたが、負担金が80万円もかかるため、あきらめることにしたことを話した。五郎の帰り際に清吉は、雪子と草太の結婚についてなかなか雪子がはっきりしないので、そのわけを聞いたが、五郎ははっきりとした返事ができず困った。

 草太は、今年のいかだ下り大会に雪子と二人で参加するために新しいいかだを準備していた。いかだには、ローマ字で「YUKIKO」と書いてあった。

 五郎は、蛍から今朝雪子に電報が来て、その後部屋からしばらく出てこなかったと話した。

 へそ祭りの日、みんなで見に行くことになっていたが、雪子は、草太と会う約束があるということでひとあし先に街に行っていた。雪子は、草太に結婚ができなくなったことを告げた。以前つき合っていた人が春に離婚して、一緒になることにしたのだった。そして、今日、その人が五郎に挨拶するために富良野へやって来ると言った。草太は、ショックを受ける。草太は、駅で雪子がその男を出迎えるのを改札口で見ていた。

 その頃、五郎たちはへそ祭りを見ていた。五郎は、その中に踊るこごみの姿を久しぶりに見た。そのとき、蛍が一人歩いている草太を見つけ、大声で呼ぶが、草太は気がつかずに路地に消えていった。

 祭りを見てから、蛍がパソコンをやりたいといったので中畑の家へ寄った。蛍と努とすみえはパソコンのゲームに夢中になっていたが、純と正吉はテレビを見ていた。純は、パソコン雑誌が見たくてたまらなかったが、努に頭を下げるのがいやで、見栄を張っていた。努が、風力発電のことで五郎を侮辱したことに腹を立て、二人は中畑の家を出た。すると、正吉がさっき純が手にしていたパソコン雑誌を黙って持ってきていた。正吉は、純が雑誌をほしそうにしていたから持ってきてやったのだと純に言った。家に帰り、純は、そんな気持ちはなかったと正吉に言った。正吉は、「やっぱりお前は汚え奴だなあ」と言って、二階へ上がっていった。正吉の言ったこの言葉が純の心にぐさっと突き刺さっていた。

 それは、五郎が出稼ぎから帰る日ことだった、純と正吉はスキーで遊びすぎてしまい、草太との約束の時間に遅れてしまい、蛍のメモを無視して、濡れた衣類をストーブの上に無造作に放り投げて、急いでバス停まで走り、富良野の駅まで向かった。その頃、草太は、子牛の出産を終え、蛍を連れて駅に向かおうとしていた。そこへ、電話のベルが鳴った。それは、丸太小屋が火事だという連絡だった。草太と蛍は丸太小屋に急いだ。そんなことが起こっているとは知らず、純と正吉は、五郎と雪子を駅で出迎えていた。4人を乗せたバスが麓郷へ着いたのは午後6時頃だった。五郎たちは、すぐに中畑を訪ねた。そこで、初めて丸太小屋が火事だということを知った。五郎たちは、急いで丸太小屋に向かった。純は、火に包まれた丸太小屋を見てぼう然としていた。そして、どのように言い訳しようか考えていた。その夜は、中畑の家で泊めてもらうことになった。純は、火事場から戻ってきたクマさんたちが火元がストーブらしいと話しているのを聞いてしまう。

 次の日、純と正吉は交番で事情聴取を受けていた。純は、何を聞かれても覚えていないと嘘を言っていたが、正吉が自分がやったと言いだし、純は慌てた。丸太小屋へ行くと、村の人たちが総出で後かたづけをやっていた。純は、火を出したのが正吉だということが村の人たちの話題になっていることを知り、ショックを受けたのだった。今年の冬のこの出来事のことを正吉は言っていることに純は気づいていた。

 へそ祭りの翌日、雪子が井関を連れて家にやってきた。井関は、風力発電がだめなら水力ではどうだと言うが、五郎は言うは易しでと答えた。そんな五郎の様子を見ていた純は、最近の五郎が、富良野へ来たばかりの頃と比べて元気がないを心配していた。その夜の夕食は、葬式のようだった。五郎は、雪子が突然井関を連れてきたことにショックを受けていた。純は、水力発電のことを五郎に切り出した。しかし、五郎からは朝から晩まで一生懸命に働いている自分にこの上何をやれと言うのかと言われてしまう。雪子が、止めると五郎は、外へ出てくると言って出ようとした。五郎は、雪子にこんなやり方は納得できないと言って出ていった。五郎は、草太や清吉たちの気持ちを考えていたのだった。

 五郎は、八幡丘へ車を走らせ、草太の牧場の前で車を止めたが、家には寄らずに、富良野の駒草へ走った。こごみは、仕事を辞めてしばらく帯広へ行っていたと五郎に話した。

 雪子が東京へ帰る日、純と正吉は見送るのがいやで、努を誘って空知川へ行った。そして、草太のいかだで川に繰り出した。途中で、努が竿を落としてしまい、三人とも川に落ちてしまう。努が溺れかけたが、二人で川岸に引っ張り上げて大事にはいたらなかった。しかし、努は、純たちがパソコンの雑誌を盗んだことを知っていると言ったため、純と正吉は努を置いて先に帰ってしまう。途中で、努のズボンを一緒に持ってきてしまったことに気づくが、純から泥棒したのはお前だと言われた正吉は、川に投げ捨ててしまう。そして、正吉は「相変わらず、おめえは汚え野郎だな」と言われ、ショックを受ける。

 その頃、蛍は五郎たちと雪子を見送りに富良野駅にいた。純たちがなかなか現れないので蛍は駅の外へ見に行った。すると、書店の前に草太のバイクを見つける。蛍には、草太の気持ちがよくわかっていた。草太は、蛍を乗せて、昔蛍が母令子を送った空知川沿いの列車の見える場所へバイクを走らせ、二人で見送った。雨が降り出し、空知川には「YUKIKO」と書かれたいかだが壊れて雨に濡れていた。途中で、雨にずぶ濡れになって震えている努を見つける。

 家に戻っていた、純と正吉は口も聞かずに黙って、みんなの帰りを待っていた。あたりが真っ暗になって草太が蛍を連れて帰ってきた。純たちは、草太から努が肺炎を起こして入院したことを知らされ、驚く。草太は、純と正吉が自分に同情して見送りに行かなかったのは筋違いだと言って諭した。10時過ぎ、純は五郎に呼ばれた。五郎は、努のズボンのこと、パソコン雑誌のこと、そして草太のいかだのことを純に聞いた。純は、どれも正吉だと答えた。そして、最後に、正吉は明日引き取る人が来ると知らされた。

 翌朝、正吉は、部屋の掃除を精力的に行い、純が話をするきっかけを作ろうとしても一切相手にしなかった。夕方、富良野駅に正吉を送りに出かけた。純はみんなから少し離れたところに立っていた。そこで、正吉から努を見ていると富良野へ来た頃の自分と同じだったと言われショックを受ける。

 蛍がホームの隅に顔を出すみどりの姿を見つけ、正吉はみどりのもとへと走っていった。列車がホームに入り、二人は一番後ろの昇降口から乗った。みどりは、頭を下げ列車は動き始めた。純は、正吉の姿を探しに列車と一緒にホームを走ったが、ついに正吉は顔を出さなかった。その夜、中畑たちと別れ、三人でラーメン屋に入った。純は、努のズボンのこと、パソコン雑誌のこと、いかだのことを正直に五郎に話した。そして、あの丸太小屋の火事のことも正吉ではなく自分がストーブの上に衣類を掛けたこも打ち明けた。五郎も、前に風力発電のことで純に言われたとき、だんだん人に頼ろうとしていた自分に気がついたと話した。

 今年も、8月5日にいかだ下り大会があったが、見ているだけで参加はしなかった。いかだ下り大会が終わると、富良野にはもう秋がそこまで近づいてきてた。