純は、タマコの叔父に父親の住所や電話番号を教えるように言われるが、父親には連絡しないように頼んだ。だが、人様の娘に手をつけて子どもを降ろさせて、それでただで済むと思っているのかと怒鳴られてしまう。父親の名前と北海道の住所を書いて、病院を後にした。それからは、益々食欲が減退していった。タマコと連絡がとりたかったが、病院には二度と顔を出すなと言われていたし、ピザハウスにも時々覗いてみたがタマコの姿はなかった。

 突然、五郎が現れた。五郎はラーメン屋で食事をしながら純にその娘と結婚する気があるかとたずねた。純は何も応えず黙っていた。五郎は、とにかく謝ろうと言い、純にも自分と同じようにやれと言った。二人は、住所をたよりにタマコの叔父の豆腐屋をたずねた。五郎は、店にはいると挨拶代わりにとカボチャを6個鞄から取りだして台に置いた。二人は、部屋へあがり頭をずっと下げ続けていた。タマコの叔父は五郎に、娘の蛍がタマコト同じ状況になったときのことを本気で想像するように言った。そして、「誠意とはいったい何かね。」とたずねてきた。最後に、持ってきたカボチャは持って帰るように言いつけた。

 五郎は、歩きながら純に一杯飲むかと言った。五郎は、酒を飲みながら、「さすがに疲れた。」と口にした。純は、「すみませんでした。」と謝った。五郎は、草太の結婚式の話や蛍が春には富良野へ帰ってくること、正吉が来たことを話してきた。純は、五郎が自分を叱らず、話をそらしていることに傷ついていた。五郎が、今店でかかっている曲をたずねてきた。純は長渕剛の西新宿のおやじのうたとこたえた。そして、純は大晦日に富良野に帰ることを五郎に約束した。

 麓郷へ帰った五郎は、タマコの叔父の言った「誠意とはいったい何だね。」と言ったことを考えていた。五郎は、家を建てるために買った丸太を300万円で売りたいと棟梁の金次に話した。金次は、そんな大金を何に使うのかとたずねた。五郎は、誠意だとこたえた。丸太を売ったことを知った中畑が、五郎を訪ねてきた。五郎は中畑に石で家を建てることにしたと話した。そして、井戸も自分で掘るのだと言いだし、準備を始めだした。富良野は、もう雪がちらつきだしていた。

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