'83冬

 五郎とクマさんば、11月から東京へ出稼ぎに出ていた。純や蛍のクリスマスプレゼントを買いに、デパートへ行き、そこで東京の子供たちがテレビゲームに夢中になっている姿を見て驚く。五郎の腕の中には、お菓子の詰まった長靴が2つ抱えられていた。

 五郎が出稼ぎに出ている間、純と蛍は、丸太小屋で2人だけで生活をしていた。五郎とクマさんが帰ってくる12月30日、二人は、富良野の駅まで草太に送ってもらった。草太は、青年団の花嫁対策委員をやっており、花嫁探しに燃えていた。家に戻ると、雪の上に足跡があった。突然、家のドアが開き、中から吉本辰巳と友子が現れ、二人は驚く。

 翌日の大晦日、五郎は朝から壊れていた風力発電の修理をしはじめ、純はそれを手伝っていた。そこへ、中畑和夫たちが正月の準備の物を持って現れた。純は、中畑の娘のすみえから正吉が家を飛び出したことを知らされた。その夜、蛍はあの雪の上の足跡は正吉のものではないかと純に話した。純は、蛍の話よりもNHKの紅白歌合戦の方に気持ちが向いていた。純は令子からもらったラジオを見つめながら富良野へ来た年の大晦日の出来事を思い出した。テレビで紅白歌合戦を見るために正吉の家まで行ったが、母親と楽しそうに過ごしている正吉を見て、中に入らずにそのまま家へ帰ってきたことをだ。

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