2時からの葬式の間中、純と蛍はあの捨てられた靴のことを考えていた。夜、みんなが帰った後、雪子と前田がもうしばらくこちらにいてやってほしいと頼んだが、五郎は農繁期の忙しい時期に丸太小屋を手伝ってもらっているから明日の朝一番で北海道へ帰らないといけないのだと言った。夜中に、トイレに起きた純は、お骨の前で泣いている五郎の姿を見た。翌朝、五郎は一人北海道へ帰っていった。その日も、ぼちぼちお参りの人たちが来ていたので結構忙しかった。

 夕方には、清吉も来てくれていた。そこでは、前田たちが五郎の行動を非難していたが、清吉は五郎が何故早く来れなかったのか、その訳を話し出した。それは、お金が工面できなくて、一人汽車で一昼夜かけて東京に来たことだった。純と蛍はその話を聞くと、外へ出た。そして、この間捨てられたあの靴を探しに靴屋へ向かった。店はもうシャッターが閉まっていた。あきらめて帰ろうとしたとき、蛍がゴミの山を見つけ、二人はさがし始める。そこへ、お巡りさんが現れ、純が事情を説明すると一緒にさがしはじめた。純は、何故だかわからないが急に涙が突き上げてきたその夜、純は夢を見た。五郎に買ってもらった靴が、川を流れていくのを蛍と一緒に裸足で必死に追いかける夢だった。

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