第23話

 次の朝、純と蛍は五郎から令子が死んだことを知らされた。雪子と純と蛍の三人は、汽車に飛び乗り、昼には千歳空港に着いていた。

 東京の令子のアパートでは、葬儀の準備でごった返していた。雪子は、友人のみや子に会い、令子の死因に不信感を覚えた。アパートでは吉野が憔悴しきっていた。純も蛍も棺の前に座るが、吉野が自分の子供に「おかあさんにお別れを言いなさい。」言ったのを聞き、二人はショックを受け、二人はアパートを飛び出し、街に出た。その夜、雪子は吉野に司法解剖をするように願い出るが、周りから反対される。そこへ、北海道から北村清吉がやって来た。しかし、五郎はまだ到着していなかった。純は、五郎が遅いのが気に入らなかった。清吉が部屋に顔を出し、雪子を外に誘った。屋台で清吉は、昔長男が東京から嫁を連れてやって来て、牧場を手伝ってくれていたが、ある日突然二人で東京へ戻っていってしまったことを雪子に話した。それ以来、東京の女の人を信用しなくなってしまったというのだ。清吉と雪子は、おでんを二皿包んでもらい、アパートに帰った。

 翌日、純が8時過ぎに目を覚ますと、台所で五郎がカップラーメンをすすっていた。五郎は、今着いたんだと純に言った。

 10時頃から葬式の手伝いのために人がやってきていたが、五郎は周りの静止も聞かず台所に入りっぱなしだった。そんな、五郎の姿が純には情けなく見えていた。公園で座っていると吉野が近寄ってきた。吉野は、自分の好きになる人はみんな死んでしまうと言う。純が破れた靴をさわっているのを見て、二人を靴屋に連れて行った。そして、新しい靴を履くように言った。二人は、一様断ったが、母さんが悲しむという吉野の一言でそれを履くことにした。今まで履いていた靴は、店員によって段ボール箱に無造作に捨てられてしまった。

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