翌朝、ふと目が覚めると港一杯に流氷が入っていた。純が迎え火の番をしていると心配して五郎が駆けつけてきた。結つくったブタ汁を食べていた弘が突然器を落とし、沖を見つめた。トドとジイヤンが流氷の上を歩いて戻ってきた。そして、二人は漁船に乗り込み港へと帰ってきた。その夜は、高村の家で祝いの席がもうけられた。カラオケバーでみんなが盛り上がっているとき、純の携帯が鳴った。それは、みずえが死んだとの連絡だった。純は、二年ぶりに富良野に戻った。麓郷は、全く変わっていなかったが、また一人世話になった人が居なくなってしまったと思った。中畑の家では葬儀の準備の真っ最中だった。純は、話したいことがあるから今晩泊めてもらえないかと螢に頼んだ。五郎は、山下から五郎の遺言の文章には死という実感が欠けていると話した。夜、雪子の家で純が話していると五郎が中畑和夫を捜しに入ってきた。外へ出ると、和夫はすみえたちの新居で一人泣いていた。
その日、純は螢のアパートに泊まった。純は、結婚して身を固め、富良野に戻ってくる決心をしたことを螢に話した。五郎は、山下から言われた自分の死んだ後の世界を想像して遺言を書いてみなさいと言われたことを考えながら筆を進めていた。翌朝、純は牧場の跡地へ行った。その後、草太の墓に寄り、墓前でたばこに火を付けて雪に差した。その足で、三沢のじいさんの家を訪ねた。じいさんは、ベッドに横たわったまま純を迎え入れた。じいさんは、自分のことで純が富良野に戻って来られないのではないかと病んでいたと言った。純は、三沢のじいさんの家から帰る途中、町で結の姿を見つけ、その後をゆっくり車を走らせた。結は、町をいろいろ歩き、最後に神社へ寄た。
螢が、快を連れてアパートへ戻ると正吉から手紙が届いていた。螢は、快を連れて五郎のもとに車をとばした。その夜は、久しぶりの家族の団らんだった。夜中に純が目を覚ますと螢が立っていた。螢は、正吉の元に行きたいと五郎に話し出した。翌朝、羅臼のトドからたくさんの海産物が届けられた。3月25日、螢と快が富良野を発った。それから、純と結と五郎の三人で石の家で暮らし始めた。純は、五郎の仕事を手伝いながら三沢のじいさんの家に毎日通っている。五郎は、今年もまた炭を焼いている。
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