2002 遺言1

 草太の牧場を引き継いで4年が過ぎていた。純と正吉が引き継いだ牧場は破産し、正子とアイコは富良野から消え、純と正吉は借金を2人で分担し、今後少しずつ払う約束をして別々に富良野を離れた。螢は、看護婦をしながらアパートで快と一緒に住んでいた。五郎は、今の何よりの楽しみがこの快と一緒に遊ぶことだった。

 ある日、五郎は保育所から快を石の家へ連れてきて遊んでいると螢が車で乗り付け、勝手に保育所から連れてきたことで五郎を怒鳴りつけた。五郎は走り去る車に向かって雪子の息子の大介が今日来ることを言う。
 ニングルテラスのロウソク屋で働いている雪子のもとに16歳になった大介が現れる。大介は、殆ど話もせず無表情で食事をしていた。すると携帯が鳴り、大介は携帯を持って外へ出ていってしまう。そこへ、五郎が現れ、大介に話しかけ、脇に座るが携帯のメールに夢中で、すっと立って家の方へ歩いていってしまう。

 翌日、五郎が炭焼き用の材を造っていると中畑が娘のすみえを連れてやってきた。札幌で保母をやっていたが、今度結婚することになり富良野に戻ってくることになったことを知り、五郎は中畑を祝福する。しかし、中畑は、相手の男を余り気に入っていなかった。今晩、祝いの食事をするから一緒につき合うように頼まれる。そこへ、すみえの相手の男清水正彦がバイクで現れた。正彦は、五郎が廃材で造った雪子の家に感動していた。その夜祝いの会で正彦は自分たちの新居を五郎に造ってもらいたいと言い出した。そして、バイオ発電で電気をつくることを提案する。五郎も、興味を示すが、中畑は不満だった。
 五郎が、テラスでバイオ発電の図面を見ていると、車の音がして一人の女性が道を上がってきた。五郎は手をかざしてその女性を見た。シュウだった。
 シュウは五郎のために風呂をたいた。五郎は、シュウが結婚して神戸へ行くことになったことを告げた。シュウは純に当てた手紙をテラスの上に置いて帰っていった。五郎は、シュウの後ろ姿に深々と頭を下げた。突然五郎は激しい痛みに襲われた。

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