第19話

 五郎は、純から蛍と凉子先生がベベルイの奥の方へ行っているかもしれないと聞き、探しに出かける。10時を過ぎても、五郎も蛍も帰ってこなかった。純は、初めは蛍を心配していたが、段々腹が立ってきていた。そのうち寝込んでしまい、入り口の開く音で目を覚ました。蛍が見つかったのだった。五郎は、今日ことは凉子先生が問題にされるから誰にもしゃべらないように純に言った。蛍は、純に今日あったことを興奮してしゃべった。純は、そんな蛍がうらやましく思え、ねたましく感じていた。

 翌日、五郎に連れられ、初めて丸太小屋を建てる場所を見に行った。そこで、純は五郎から蛍の話を信じてやらなかったことを叱責される。純は、五郎はいつも蛍の味方だと感じた。

 7月27日・28日の二日は、富良野のへそ祭りの日で、五郎は夕方からみんなで見に行こうと張り切っていた。雪子と純が洗濯物を干しているところへ草太がバイクでやって来た。今度札幌でやる試合の取材がジムであることを雪子に伝えに来たのだった。祭りの前にみんなでボクシングジムを訪れたが、そこでの主役は草太ではなく会長の成田新吉だった。五郎たちは、祭りに行くが純は一人ジムに残った。そこで、五郎から口止めをされていたあの事件のことを新聞記者にしゃべってしまったのだった。

 そのころ、蛍は五郎の肩車で祭りの見物をしていた。五郎は、祭りでおどるこごみの姿を見つける。その晩、五郎を富良野に残し、中畑の車で家に向かった。車内では祭りの話して盛り上がっていたが、純だけは、あの晩のことをしゃべってしまったことに後悔していた。

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