素直クール
仮称)椿舞と武智 6
スレ | 素直クールでエロパロPART14 |
No | >>260〜 |
日時 | 2010/10/31(日) 04:46:33 |
本文 | 「おはよう。昨日は激しかったな、武智くん。おかげで私はあまり眠れなかったぞ?」 目が覚めると掛け布団と共に自分にかかっている椿に言われる武智。 頭がまだ起動したばかりだが昨日の事を思い出す事にした。 「昨日は…」 |
「ではこれ(*作中作)を次の作品でいくか編集長と協議してみます」 「自分で言うのもなんだが、あまりにも毛色が違うな」 「そうですね。でも短編でやってみるのも面白いかと思います」 「そこらへんは任せた」 鞄に原稿を収めて武智は時計を見る。 「それでは今日は冷え込みますので充分温かくして寝てくださいね」 「ん?もう帰るのかね?」 「えぇ終電の都合がありますので」 椿はぴょんと椅子から降りて武智と出入り口の間に立つ。 そして両手で武智の背を浴室のある方向へ押す。 「まぁまぁ風呂でも入っていきたまえ」 「家にも風呂ありますよ」 押されつつ武智は苦笑いをする。 「疲れに効く入浴剤も多数あるぞ、選び放題だ」 「いや、先生。お心遣いありがたいですがさすがに…」 武智は振り向き椿と相対した。 「気にする事はない。君と私の仲ではないか」 「いえいえ、さすがにそれは行き過ぎでは…」 「入っていきたまえ」 椿は武智を見上げながら笑顔で言う。 武智はふとその笑みに違和感を感じる。 「三助もするぞ」 「結構です」 「こんな事もあろうかと下着もパジャマも買ってあるから心配ない」 「…なんで買ってあるんですか」 軽い眩暈を感じ額に手を当てる武智。 「泊まるのも初めてではないし、風呂に入ってもよかろう?」 「それでもさすがに…」 (朝まで居たのを泊まったと解釈するなら初めてじゃないけど…) 「一番風呂を気にする事はないぞ?私は後で結構だ」 「いや、そういうわけじゃ…」 見上げたまま椿は、ぽむっと手を叩き合点がいったような顔をする。 「そうか、察しが悪くて済まない一緒に入りたいのだ…」 「お先にお風呂頂きます」 椿の言葉を遮り武智はすたすたと浴室に向った。 |
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浴室。 結局、湯船に浸かっている武智。 ユニットバスとは云え武智すらしっかりと入れる大きな浴槽である。 勢いで入ってしまった武智だが湯の温かさにどうでも良くなりそうである。 多分にオススメで入れられた入浴剤の効果もあるかもしれない。 その為か妙な想像をしてしまう。 「この広さなら一緒に入れるなぁ…」 自分の上に椿を乗せて入っている。 椿の背を胸に受け、あの旋毛を見ながらゆっくりとひたる。 そっと椿を包む様に手を組む。 触れる小柄で柔らかい椿の体。 「気持ち良さそうだ…」 「何がだね?」 「湯と…」 答えかけて目を開く。 そこには膝までジーンズを巻き上げて立っている椿がいた。 「なっ、なんで先生?!」 反射的に体を丸めて武智は驚く。 「声をかけても返事がないから寝てしまったのではないかと心配したのだぞ?」 「そ、そうですか。大丈夫です。ですから」 「わかった、わかった。着替えは置いておくから」 椿はくるっと向きをかえ出ていく。 「眼鏡が曇ってよく見えてなかったから安心したまえ」 と言って扉を閉めた。 妙に口角があがっていたのを見て武智はより赤面した。 |
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武智はソファーでお茶を飲んでいる。 椿に準備された下着とパジャマを身に纏い、 椿に用意された洗面道具を使い、 椿に警告されてお茶を飲んでいる。 今、入れ替わり椿が風呂に入っている。 本当は椿が入っているうちに着替えなおして帰るつもりであった。 タクシーを使えば帰れない事もないのでそこまで計算したつもりであった。 しかし、それを椿は見抜いていたようだ。 片隅に置かれている鞄の上に”待つのも担当の仕事”との紙が置いてあり、 風呂から聞こえる水音と共にシャツが洗濯機に回されている音が聞こえる。 武智は何度目かの溜息をつく。 そしてせめてソファーの寝心地を良くしようと準備し始めた。 「ふぅいい湯だった。ん?何をしてるのかね?」 ぺたぺたと大きめのスリッパで音を立てながら椿が戻ってきた。 武智のとサイズと色違いのパジャマを着ている。 2つのソファーを合わせて簡易ベッドにしようとしている武智を見て怪訝な顔をする。 「寝床の準備でもと思いまして」 「寝床はあるではないか」 「?」 「湯冷めしてしまうから、さ」 そう言って武智のパジャマの裾を掴んで引っ張っていく。 椿の向う先は寝室であった。 「ちょ、ちょっと先生?!」 「さ、入った入った」 入口まで引っ張ってから武智の背後に回り押しこんだ。 そして自分も入るなり後ろ手で扉を閉め鍵をかけた。 「なんで鍵閉めるですか?」 「施錠は防犯の基本」 「いや僕は出ていきますよ」 「言いたい事はベッドの上で聞こう。さ、君も入りたまえ」 椿はベッドの上に正座しぽんぽんとベッドを叩いた。 顔はじっと武智を見上げたままである。 「こればかりは出来ません。僕はあちらで寝ますので…」 武智はその真剣な視線を避ける様に背を向け出ていこうとした。 が、その腰に椿がきつく掴まる。 「武智くん…一緒に寝ないか?」 「先生…」 |
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「先生寝てますか?」 微かな灯りで見えるのは椿の小さくてまん丸頭の旋毛辺り。 椿は少し間をとって背を向けて寝ている。 「…」 返事はないが眠っている様子はない。 「…今から言う事は寝言です。 先生は昔、可愛がっていた犬がいて一緒に寝ていたようですね。 その犬がいなくなってから寝る時には何かがないと眠れず あの抱き癖も寂しさからくるものなら納得です。 不肖、この武智公保、今晩だけでも替わりになる…?」 椿がころんと向きを武智に向けたのがわかる。 武智がそちらを見ると、不機嫌顔の椿。 「武智くん、それは何処からの情報だね?」 「編集長が…」 「あいつはこうも嘘八百を…」 「嘘だったんですか?」 「気をつけるがいい。あいつは物書きなるべきなぐらい朗々と嘘をつく」 「はぁ、まぁなんとなく…」 過去の事例から否定できない事と武智は思った。 「まぁあいつはいい。君は嘘をつかないだろうね?」 「はい。出来うる限りは誠実であるよう心がけております」 「それは良い心がけ。では」 言うが早いか椿は武智の懐に潜り込み抱きついた。 「せ、先生?」 「替わりになってくれるのだろう?」 武智の顎下辺りから見上げて椿は言う。先程の不機嫌さが何処かへ行ったような笑顔で。 「か、替わりってさっきのは…」 「誠実、誠実」 そう言いながら椿は脚まで使って体全体で抱き着く。 まるで武智を抱き枕かのように。 一方の武智は拘束具のない柔らかい感触に負けまいと思いつつ諦めた。 「はぁ。今日だけですからね」 ぽむぽむ。 自由になる左腕で布団の上から椿を優しく叩いた。 まるで子供を寝かしつける親のように。 「なんだかその叩き方に妙な違和感を感じるが」 「嫌ですか?」 「嫌ではない」 そのまま2人は眠りについた。 |
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が、ふとした事で椿は目覚める。 安心して眠っていたはずなのに今度は何かおかしい。 見上げるとそこには武智の寝顔。 細目な為にいつも起きているのかわからないが今は寝ている。 くっ付いているこの体は抱き心地もいい。 なのに心拍数が上がっている。 「ん、ん〜ん」 「!!」 武智がいきなり椿を抱き締める。 「た、武智くん?」 椿の呼びかけに武智は答えない。どうやら寝てはいる様だ。 椿は抱き締められている事に苦しさは感じないが よりいっそう心拍数は上がっている。 「ん〜」 「お、おい?!」 武智は椿を抱き締めたまま寝返りをうつ。 180度はいかず90度、武智は仰向け状態になり、その上に椿がのる形になる。 椿は武智がわざとやっているのかと顔を見るがやはり寝ている。 武智の胸に椿は頭を降ろす。 耳には武智の心音が聞こえる。 それは自分と違いゆっくりとした速度。 それに合わせるかの様に自分の心拍数も落ちついていくのがわかる。 椿は目を閉じたまま笑みを浮かべる。 (落ちつく…明日、起きたらなんと言おう。 そうだ、今度の飲み会の時にやつらに言ってやろうか…) これが武智と椿が寝た夜の事である。 |
解説 | 先にアップしておいて、アンカー打てば良いかと思った作中作。 しかしそれが少々問題を… 雰囲気出るかなと思って没作から出したのだが かといって作中に区切って出すのもなぁ… タイトル・寂しいよる V |