素直クール
仮称)椿舞と武智 4
スレ | 素直クールでエロパロPART14 |
No | >>241〜 |
日時 | 2010/10/29(金) 02:00:38 |
本文 | そろそろ夜も深夜帯。 とある雑居ビルの最上階は唯一の灯を点している。 その一室で語り合う男女がいる。 男は武智公保、女は椿舞である。 「そうなんですよ、あれはライセンス取ってるんですよ」 「あんな変な物まで出しておいてよく許したものだな」 「取った者勝ちというか…あ、こんな時間だ。すみません、今日も長居してしまった様で」 その時間に気付いた武智は立ち上がる。 「いやいや。こちらこそ、すまないな。武智くんと話していると時間が短い気がするな」 「制作時間を潰して申し訳ないです」 「雑談からいろいろアイデアも浮ぶことも有るというものだよ」 「そう言っていただくと救われます。では、椿先生、失礼致します」 「ん。気をつけて」 椿は会話していた時から座っていた、というか胡座をかいていた椅子から降りずに片手を挙げて答えた。 「では。おやすみなさい」 「おやすみ」 扉は閉められる。 女は何気なくそれを見ていて一時の後、椅子を回転させ机に向う。 そして部屋の明りを消しスタンドの明りのみで作業に戻る。 数時間後。 椿は伸びをして作業を止めた。 室内照明を点けて眼鏡を外す、今日の作業は終わりである。 椅子から降りて考える。 「さて。御飯は要らないな。ま、夜食うと太るというしな…」 ぺたぺたとスリッパの音を立てながら椿は仕事場からソファーのある場所へ移動する。 「ふむ。どうも近頃独り言が多くなっているな。そう思わないかい、武智くん?」 当然、振り向いたその場所に武智も誰もいない。 少しの間。 「…なにをやってるんだ私は。さて風呂に入って寝るとするか」 椿は頭を掻きながら浴室に向う。 |
「歯磨き良し、施錠良し」 パジャマに着替えた椿が指差呼称をする。 そして見渡してから壁スイッチで部屋の明りを消す。 いくつかのパーテーションで区切られてはいるが棚や荷物ばかりの部屋。 事務所である事でも除いても機能的ではあるが灰色の多い殺風景な部屋だ。 外からの光りが微かに入りこの部屋はブラインドを降ろさない限り暗闇にはならない。 繁華街の喧騒までは聞こえないが車の走る音などは聞こえる。 奥の部屋が椿の寝室になっており ここの生活に慣れた椿はここまで明かりをつけず進んでこれる。 とはいえ寝室はビルの角度的にここは窓につけたシェードから朝日以外は射さず暗い。 寝室に難なく着くと椿はベットの掛け布団と毛布に入り丸まる。 「…」 寒気が来ているのか風も強めで 窓枠を軋ませるような音が事務所側から聞こえる。 これはいつもの事だが何故か気になる。 「…」 眠れない。 いつもなら直ぐに寝れるはずなのに眠れない。 椿はそれが何故だか不安で怖くなった。 かといってそれに対する手段も浮ばず、それがどんどんと不安のスパイラルに陥る。 ふと、その時、先程までいた者の姿が浮ぶ。 それは暗闇に射す一条の光のようだった。 (武智くんか…) 策を弄され担当になった年下の者。 初見から妙な感覚があった者。 そして一緒にいる時間が楽しい者。 (担当だからな…) 思い過ごし。考え過ぎ。そう思った椿。 故に即座に先程の闇に包まれる。 (武智…) 寒くないはずなのに何故か震えは止まらない。 悪寒を防ぐ為に武智を思ってもそれは止まらない。 (いったい、なんなんだ、これは?) 理解し難い侵食する闇と震え。 何年も過ごしたこの場所すら安全に思えない感覚にすらおぼえる。 (武智くん…武智くん…武智…!!) 念仏のように思う椿は思い出す。 枕の横にある常日頃使わない電話の子機。 それが今の椿には心強い物に見えた。 椿は体を起こし、電話の子機を手に取る。 そして、武智の電話番号を打ち込む。 後は通話ボタンを押せば良い状態。 しかし、椿はそのボタンに指を置きながら押さない。 そのまま持ったまま椿は暗闇で考える。 一息着いた後、椿は元の位置に電話戻し、また丸まった。 |
解説 | 寂しいよる T |