素直クール

仮称)椿舞と武智 2

スレ 素直クールでエロパロPART14
No >>225〜
日時 2010/10/23(土) 02:38:43
本文 「椿…舞…先生?」
「そうだよ。編集部員君」
武智はまだ呆然としていた。
それもそうだろう。
クールでナイスボディの女流小説家を探していたのに
そこに現れたのは、
ベージュのシンプルなチュニックを着て、スキニーデニムを穿いていて、
肩まである髪、クールな雰囲気だが幼げな顔立ち。
185cmぐらいの武智に比べると異様に小さく見えるが
それでも周囲からしても一段と低い背丈。
唯一、組んだ腕にのる胸のサイズが否定するが
今日日の女児の発育の良さを考えると、どう見ても高…中学生ぐらいの女の子。
それで至った武智の答えは…
「娘さんではないのですか?」
「正真正銘、椿舞だが?…まぁ初対面はそんなものだろうな」
半ば諦めの表情をする椿。
「はぁ…すいません」
「ん。で、君の名前は?」
「はい。私、武智公保と申します」
武智はすくっと立って一礼して言った。
「武智くんか…いくつだね?」
椿はそれを見上げながら聞いた。
「26になります」
「26…あぁ、そうではなく身長は?」
「あ、すみません。185cmぐらいだと思います。近頃計ってはいませんが」
「そうか、大きいな。竹尺1つぐらいか…」
(竹尺?)
「とりあえず周囲の目もある。移動しないか?首も疲れるし」
周囲を見ると自分達を物珍しそうに見ている視線に気付き
思わずそれに苦笑いで答える。
「そうですね。では御案内します」
2人が連れだって歩き始めてから5分程経った人気もまばらな地下道。
立ち止まっている武智と椿がいる。
「いかんな。どうにもコンパスが違い過ぎる」
「すみません。ゆっくり歩いているつもりなんですが・・・」
2人は歩き始めてから、
武智がいかに椿に歩調を合わせ様にも、椿が武智に追い付こうとも
それなりの人がいる中では差ができてしまう。
「ここから我が社屋まではこの時間にはそんなに人も歩いておりませんから
 ゆっくり行きましょう」
と、その時、武智の携帯電話が鳴動する。
「あ、先生、すみません」
武智は椿に断ってから電話に出る。ディスプレイに出ている文字は”編集長”である。
「はい。武智です…はい、先生と合流して今、向かっている所です…
 地下道ですから後30分もあれば…少々諸事情がありまして…
 え、なんとしても?…いや、ですから諸事情が…?!編集長、編集長!!」
「どうしたんだね?」
「いやその、編集長が所要があるから早く来いと…」
「嫌がらせだな…私独りなら永遠に待たせるが武智くんに悪いしな、急ごう」
「そうですね。では、椿先生」
「ん?」
踏み出した足をそのままに椿は後ろの武智に振り向く。
「すみません、緊急事態なので」
言うが早いか武智は椿を持ち上げた。所謂、”お姫様抱っこ”である。
「?!」
いきなりひょいっと抱えられて椿は動揺した。
「すみません。早く着く為には御了承下さい」
武智は抱えたまま地下道を速度を上げて進んでいった。
そして椿はそのまま着くまで終始無言で武智の体に捕まっていた。
「到着しました」
編集部の扉を開けるなり武智は最奥の人物に向って言った。
その音に吃驚したのか部屋中の視線が向く。
(今日は衆人環視の日だなぁ…ひそひそ何か言われるおまけ付きだ)
少々息は上がっているがそれでもそのまま最奥へ向う。
「お疲れ。早かったな」
最奥の人物、編集長は書類から視線を向けて言った。
そして何故だか微笑を浮かべている。
それを皮肉と武智はとった。
「脅迫されましたので」
「ふ。どういう手段を使ったか知らんがよくやった、と言っておこう」
「…ありがとうございます」
「そんな頑張り屋の武智にいい仕事をやろう」
編集長は肘を机の上に乗せ手を組んで顎を乗せた。
それを見て武智は、いや、この編集長に関わった事のある人間は知っている。
ろくでもない事を考えていると。
「安心しろ。お待ちかねの専属担当だ」
「本当ですか?」
武智は机に手を付いてまで編集長の顔を覗き込む。
それに全く動じない編集長。
「あぁ嘘は言わん。しかし、編集は大変だぞ?」
「頑張ります」
「辛いぞ?」
「耐えます」
「断るなら今のうちだぞ?」
「断りません」
「そうか。そこまで意志が堅いのなら任せよう」
「ありがとうございます!!」
武智は一礼をして顔を上げた。
その顔はいろいろな熱がこもった赤い色をしていた。
「ふ。さっきとは違う礼だな。さて、そんなわけです、椿先生」
またあの微笑を浮かべて武智の右側を見た。
その言葉を聞いて武智は固まり顔の赤みも抜けた。
編集長の見ている方向、つまり自分にとって左後方を見る。
そこには額に2本指を当てながら目を瞑っている椿がいた。わかりやすい困惑顔で。
(あれ?…なんで椿先生がここに?…さっき隣の応接室でお待ち下さいと…というか編集長、そんなわけって?)
「…ぬかった。私とした事が」
「優しい椿先生にしっかりとお・そ・わ・れ・よ、武智」
「は、はぁ…」
「椿先生も宜しくお願いしますね。そして頑張ってくださいね、いろいろと」
「何を言ってるんだか…」
呆れた顔で椿は言った。
それを聞いて編集長は非常ににんまりとした顔で
「武智、椿先生におそわれるだけでなく、お姫様の様に扱う事も忘れずにな」
「…!!編集長、ま、まさか」
「見ていたのか?いつから覗きまで仕事になったのやら」
驚愕の武智、憮然とした椿。
手を解き、左手に頬を乗せて、右手を払うように編集長はリアクションをとる。
「椿先生、でも、思いの他、悪くはなかったろ?」
暫しの思案の後、椿は答えた。
「あぁ、あれは悪くないな。それに…」
まだ混乱している武智のスラックスを掴み、
「彼も悪くはなさそうだ。了解した、彼を担当にしてくれ」


これが武智公保と椿舞は編集者と執筆者の関係になった話である。







解説 〆の一文は今回からやれるだけやってみようと思った。
で、改訂前をアップしてしまうミス。
ここでは訂正してある。
<訂正前>
「な、なに?!」
いきなりひょいっと抱えられて椿は動揺した。
その証拠に先程の顔つきと違い狼狽して顔も赤い。
「すみません。早く着く為には御了承下さい」

<訂正後>
「?!」
いきなりひょいっと抱えられて椿は動揺した。
「すみません。早く着く為には御了承下さい」

赤くなるのは早い。
しかし一歩間違えれば素直クールですらないな…
隠した所が理解されただけでもありがたい。