綾金港大海戦の真実に迫る!!
某年某月某日、曇。我々はとある方面からの連絡により、重大な指摘を受けた。それは、フィクションと偽り、綾金市に実在する謎の営利団体「神楽総合警備」の真実をレポートする伊藤明弘氏作「ジオブリーダーズ」の2巻において、神楽の存在を示唆する重大なヒントが隠されているというのである。
2巻において報告されている最大の事件、「綾金港大海戦」事件であるが、当事件における神楽のクライアントであると目される綾金市漁業組合と、別件により出動していた厚生省衛生第2課特殊部隊「ハウンド」による事実隠蔽により、世間的には全く公表されなかった事件である。
しかしあれ程大規模な事件である限り事件の痕跡を残さずにいる事は不可能であるはずであり、我々は現場に急行しその証拠を得るために取材を敢行した。
「綾金港大海戦」事件の舞台となったのは綾金市の水運の要「堀川」と呼ばれる水路であると思われる(右の写真参照)。
そのためこの水路の近辺には木材関連の会社や、また工場なども多く、まさしく「綾金港大海戦」においてレポートされている通りの場所である。特に蘭東栄子嬢(推定年齢20代半ば)が化け猫封印の為に、水路に柵を落とすのに使った荷揚げ用のクレーンと同型のクレーンが数多く見られる。(左の写真及び2巻P82,83参考)
更に梅崎真紀嬢(推定年齢23歳)が最終防衛線[ピケットライン]として立った「紀佐橋」こと紀佐衛門橋もこの水路沿い、綾金港近くに存在している。(右写真、紀佐衛門橋)
我々は早速この近辺での聞き込みを開始したが、近隣住人は口を堅く閉ざし何も語ろうとはしなかった。その対応から、金銭的保証のみならず、なんらかの圧力が加えられている事を感じずにはいられない。
事件当日にはおそらくはこの付近にハウンド所属の成沢嬢(推定年齢20代前半)の姿もあったはずであるが、近隣住民からはその証言を得る事は出来なかった。
我々はこのように「綾金港大海戦」事件の痕跡を追い、上流から河口付近へと移動、取材を行ったが、弾痕の一つも見つける事も出来ず、事件はすっかり風化してしまっているかのように思えた。しかし、次の取材地にて意外な事実が判明したのである。
「綾金港大海戦」事件最後の舞台である綾金港、この近辺には綾金港水族館、大観覧車とフリーフォールが目玉の綾金港遊園地といった施設があり、水運のみでなく観光地としても綾金においては重要な拠点である。
我々がその地に足を踏み入れた時、水平線の彼方から綾金港へとゆっくりと近付いてくる物体があった。見にくくはあるが左の写真、赤丸で囲まれた部分に奇妙な物体が確認できる。我々はこの物体に見覚えがあった。息を呑んで見守る我々にその姿を見せ付けるように、それは我々の待つ綾金港へと近付いてきた。
そして右の写真が帰港してきたその物体の全容である。それは綾金市の誇る観光遊覧船、「金鯱号[きんこごう]」であった。1998年第二四半期から関東圏にて放映している某地方都市観光案内アニメーションにおいて、某唐沢なをき氏の劇画の登場人物と間違えそうな名前の山本るりか嬢が「シャチ丸君」と呼んでいたが、「金鯱号」が正しい名称である。この金鯱号はジオブリーダーズ第二巻P125の1コマ目にて登場している事は、既に周知の事実である。しかし、勘の良い方ならすぐに気付くと思われるが、この金鯱号、化け猫に制御が奪われたファランクスの流れ弾により被害をうけたはずである。が、帰港してきたこの金鯱号にはその痕跡は見られない。
だが関係者から興味深い事実が確認できた。実はこの金鯱号、今までずっと同じ船体が使われてきたのでなく、過去何度か代替わりをしており、現在就航しているのは3代目なのである。そして2代目はわりと最近に3代目との世代交代の後、上海に観光遊覧船として売却された、という話である。
はたして二代目金鯱号が老朽化の為代替わり、上海に売却というのは事実なのであろうか? 実は海上自衛隊の装備により被害を受けた施設、設備を秘密裏に処理、老朽化及び売却という報道により世間の目を欺いた、というのが真実のシナリオではないのだろうか?
我々は綾金市及び関係省庁に問い合わせたが、それに関する返答は一切得られなかった。そして取材の後日、突然当社上層部からこの事件に関する取材の中止が申し渡された。
中止の理由は一切説明されていないが、当日、髪を七三に分けたにやけ顔のスーツの男が社長に面会を申し込んだとの当社受付嬢の証言があり、厚生省衛生第二課及び防衛庁からの圧力である可能性が非常に高い。
その為我々はこの取材の続行を余儀なく諦めざるを得なかった。が、しかし神楽総合警備と化け猫、それと厚生省第二課特殊部隊「ハウンド」の真の姿の追跡自体はまだ終わっていないのである…
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