一人の女性が、五郎を訪ねてきた。その女性は、以前螢が勤めていた病院の黒木婦長だった。五郎は、螢が婦長の夫光彦と駆け落ちしたことを知らされた。五郎は、黒木をバス停まで送るが、螢の駆け落ちの話が信じられなかった。五郎は、家へ戻る途中で雪の吹き溜まりに車を突っ込んだシュウに会った。
 五郎は、螢のことをシュウに話し、涙した。シュウも昔のこと消せる消しゴムがあるといいと言った。遠くで凍裂の音がした。五郎は、翌朝早く純を訪ね、落石へ一緒に行ってくれと頼んだ。

 アパートから出てきた螢が純を見つけ、2人は、落石のバス停で話した。螢は、五郎が来ているのではないかと純に聞いた。純は、螢を連れて五郎のいる食堂へ行った。五郎は、自分の気持ちを螢に話した。五郎と純は螢をアパートの近くまで送った。別れ際に、五郎は「いつでも富良野に帰ってくんだぞぉ」と叫んだ。螢は、引き返し毎日自分を責めているんだという気持ちを五郎に言った。五郎は、富良野までの8時間の長い道のりを一言もしゃべらずに過ごしたのだった。

 翌日から一級の寒波がやってきた。シュウが五郎を訪ねてきた。シュウは五郎を吹上温泉の天然の露天風呂に誘った。シュウは、湯船につかりながらもう五郎に会えなくなると話した。訳を聞くと、自分の過去に純が気付いてしまったらしいと打ち明けた。突然声が聞こえ、中畑和夫と成田新吉が現れ、五郎は狼狽した。麓郷へ戻った五郎は、今日のことは純には黙っていてほしいと中畑と新吉に頼んだ。

 朝早く、電話が鳴った。札幌のれいからだった。今日の午後結婚して、東京へ行くと聞かされた。朝出勤しようと車へ行くと、シュウから今夜6時から北時計でずっと待っていると書いたメモがワイパーに挟んであった。純は、仕事を途中で仮病で休んで、れいの結婚式のある札幌へ向かった。純は、教会から出て車に乗り込むれいを遠くから見守った。

 純がアパートへ戻ると五郎が待っていた。五郎は、シュウの待つ北時計へ行くように純に言った。純は、もう遅いと言ったが五郎に諭され北時計に向かった。シュウが窓際に一人座って待っていた。純は、車を降り、五郎に一礼して中に入っていた。シュウは純にあてた手紙を書いていた。その手紙をシュウは読み始めた。その手紙には、シュウの過去のことが書かれていた。純は、その手紙を奪い取って破き、そして今度の日曜日に山部山麓デパートへ行かないかとシュウを誘った。

 五郎のもとに、落石の螢から手紙が届いた。

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