その木曜、純とタマコは渋谷で待ち合わせた。二人は、ハンバーガーとウウロン茶を買い込んで、ホテルに入った。タマコはビデオに夢中だったが純の方はきがきではなかった。南極物語が始まると、純は我慢できずにタマコに迫ったが、タマコは大声を上げて拒んだ。しかし、タマコはこうなったことが自分のせいだと言って純に謝った。純は、高倉健の目の前で、大人の壁を越えた。それから、二人はちょくちょくビデオ鑑賞会を開くことになったのだった。

 夏が終わり、街路樹が黄色くなりかけても二人の会は続いており、二人ともその会に夢中になっていた。だからといって、れいちゃんのようにはタマコを愛していたわけではなかった。愛していないのに会うことは望んでいた。東京に出てきて4年7ヶ月の間にこんな不純なことが平気でできるような汚れた人間になってしまったと感じていた。草太から結婚式の通知を受け取っていたが、純は出席できなかった。

 富良野では、草太が結婚式のリハーサルに張り切っていた。蛍は、花嫁のアイコがトラクターに乗ることに反対したが、草太は受け入れなかった。そして、結婚式が始まった。トラクターに乗ってアイコが現れるが、突然トラクターが止まった。アイコの様子がおかしかった。アイコはすぐに救急車に乗せられ病院へ運ばれたが、流産してしまった。アイコを病院に見舞った五郎は、ベットに横たわるアイコから草太を慰めてやってほしいといわれた。五郎は、屋上の草太の所へ行くと、草太から流れた子どものために小さなお棺を造ってくれと頼まれた。

 そんなことは全然知らなかった、まるで運命のイタズラのような事件が純の方にも起こっていた。純は、突然タマコから妊娠したかも知れないと聞かされ、心臓がドキドキ鳴りだした。

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