第9話

 昭和56年正月、つららが五郎の家にひょっこり現れ、草太と雪子の関係について五郎に尋ねるが、はっきりしたことが五郎には言えなかった。そんなつららの気持ちとはうらはらに、草太は雪子と純・蛍・正吉を連れて大雪へスキーに行っていた。

 その頃、富良野の駅に令子が突然やって来た。駅の改札口を出て、タクシーを拾って中畑和夫を訪ねた。令子の来訪に和夫は驚く。五郎を連れてくるから、家で待つように言うが聞き入れず、和夫は令子を車に乗せ、五郎の家へ連れて行く。五郎は、令子の出現に慌てふためく。令子は、二階の純や蛍の部屋へ上り、子供たちに会わせてもらえるように五郎に頼む。五郎は、「母親がどうしても会いたいというのを拒否する権限は自分にはない。ただ、いま子供らに会わせてしまうと、この3か月築いてきたここでの暮らしが崩れてしまう。時期が来たら、必ず会わせる。」と令子に話す。だが、令子に一目でいいからと言われ、明日中畑の車の中から子供たちを見せると約束する。

 スキーから帰った蛍が、誰かが来たのではないかと五郎に聞くが、五郎は中畑が来ただけだと嘘を言う。純は紙包みを見つけた。それは、令子が置いていったものだったが、お年玉だと言って純に渡す。変に思った雪子は、外で紙包みを燃やす五郎から令子が来たことを知らされる。その夜、蛍は雪子に令子が来たのではないかと聞く。それは、令子の臭いが蛍のパジャマについていたからだった。

 次の日の朝、五郎は初めて子供たちに風力発電のことを話す。そして、外で作業しているところへ、中畑が令子を乗せてやってきた。五郎は、純と蛍に仕事を任せ、車の中の令子に見せた。そこへ、草太が車でやって来て、令子を見つけてしまう、慌てた雪子は草太に駆け寄り、車に誘う。しばらくして中畑は令子を乗せて旭川空港まで送っていった。 20年ぶりに正吉の母親のみどりと再会し、互いの身の上話で盛り上がっていた。そこえ、母親の話を聞いた草太が現れ、母親に会わせなかった五郎をせめるが、逆にみどりから他人が人の心の中まで入り込むものではないと叱責される。夕食の時、五郎はラジオは、令子からの贈り物だと言うが、純も蛍もそれには答えず、風力発電のことでその場を取り繕っていた。

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