第4話

 純と蛍が中の沢の分校に通うようになったある日、中畑木材へ五郎を訪ねて本多という女弁護士が東京からやって来た。五郎は、本多から母親の令子からの手紙が子供に全部渡っているかどうか聞かれるが、五郎は嘘を言ってしまう。

 純と蛍は学校から帰る途中に、弁護士の本多から母親からの何通かの手紙が自分たちにきていたことを聞き、純はショックを受ける。五郎が仕事を終えて、家に着くと純が令子からの手紙のことで雪子に不満をぶちまけているのを聞いてしまう。五郎は、本多から受け取った手紙を純に渡し、明日本多のいるホテルへ連れて行くことを伝えた。

 翌日、五郎は純だけを車に乗せ、本多の待つホテルへ連れて行った。部屋へ入って話しをしていると、本多が吸っているたばこの灰のことが純には気になった。それは、昔五郎が灰を落として令子に叱られていたことや夜中に令子が誰かと電話で話をしていて、そのとき吸っていたたばこの灰がじゅうたんに落ちたことがあったからだった。本多は、部屋から東京の令子の所へ電話をかけだした。純は自分とは関係のない人が父親のことを悪く言うことに我慢ならず、受話器の向こうには母親が出ているにも関わらずホテルを飛び出し、五郎の待つ車へと走った。

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