第1話

 両親が別れることになり、純と蛍の二人は父親の五郎に連れられ、昔父親が住んでいたという北海道の富良野というところへ行くことになった。蛍は、車窓から初めて見る空知川に感動していたが、純は不安気に窓の外を見つめていた。3人が降りたのは、布部という駅であった。そこには、親戚の北村草太が車で出迎えにきてくれていた。そのあと、五郎たちは草太の車で、八幡丘にある草太の家へ向かった。その夜は、草太の家で三人で泊まった。

 翌日、二人は昔五郎の住んでいたというぼろぼろの廃屋へ連れて行かれた。ここには電気もガスも水道もないと聞かされ、純は不満と動揺が隠せなかった。その夜、食事のときに、五郎から馬の賢さの話を聞かされ、蛍は感動するが、純は詐欺だと思った。純は、その夜、怖い夢にうなされていたが、蛍に起こされ、何者かが表を歩いていることを知らされる。そして、恐怖の余り、二人はお祈りを始めた。正体は、中畑和夫に言われて様子を見に来たクマさんだった。翌朝、五郎は蛍と二人で沢へ水くみに行った。そこで今の蛍の気持ちと純の様子を聞き、少し安堵する。しかし、そのころ純は二階の部屋で起きており、一人東京へ逃げ出す作戦を考えていたのだった。

Menuへ